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二十一世紀の選択
アジサイの広場
吉見こと大3
 『銀河鉄道999』というSF漫画がある。主人公の星野鉄朗が永遠に生きるこ
とが可能な機械の体を手に入れるために銀河鉄道という宇宙空間を走る汽車に
乗って機械の体をくれる星へと旅を続ける、という物語だ。最近、このような
漫画のような話が現実味を増してきた。アメリカのロボット研究の実態は私た
ちが思っている以上に進んでいる。研究の一つの方向はロボットの精神的な能
力を拡張し、判断能力や感情さえ持った機械を造ろうという試みである。
 
 もう一つの方向は、人間の体の一部を機械で置き換え、脳と機械を直結する
サイボーグ造りの動きだ。これは既に身体障害者の補助器具として実現してお
り肩の筋肉の指令を受けて動く巧妙な義手が開発されている。最近では衰えた
脳の中に記憶装置を埋め込む研究も行われている。このような努力の先には、
やがて人体から脳のみを残し他の全てを機械で補強する人間改造計画が見え隠
れする。
 
 最近、若い女性の間で(最近では男性も)美容整形が流行っている。体の脂
肪を吸い取る簡単なものから骨格を削ったりシリコンを入れるものまで様々に
ある。より美しく見せたい若いままでいたい、という願いが彼女たちを美容整
形へと走らせるのだ。美容整形は肉体の改造だ。人間には誰にも「人から良く
思われたい」という願望がある。その願望が徐々にエスカレートして人間をサ
イボーグ化の道へ歩ませてしまう可能性がある。
 
 現代では人間のサイボーグ化には批判的な意見が少ない。まだ誰にも見当が
つかないのだ。ただ今日の日進月歩の技術革新を見れば分かるように人間をサ
イボーグ化する社会に近づいているのは事実だ。漫画の主人公の星野鉄朗は機
械の体をくれる星へ行く途中に様々な人間や機械人間と交流を持つ。機械人間
から見れば生身の人間は虫ケラ同然だった。しかし人間は短い人生を精一杯、
生きようとする。だからこそ希望が生まれ、そして生命が生まれる。星野鉄朗
は、この事を悟った時、人間として精一杯、生きようと決意する。二十一世紀
の私たちは、どちらを選択するのだろうか。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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