| 私達の生活と「火」 |
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| 生き物のように焔をあげ、やがて燃え尽きて灰になっていくかつての火の姿 |
| には、霊的な生命を予感させる存在感があり、すべての人の心に、火の思い出 |
| にまつわる様々な感情を呼び起こした物だったが、そんな人の対話さえ、最近 |
| では次第に忘れられていく。それに代わって石油ストーブなどが普及し、いた |
| るところに真昼のような人工照明の空間が出現してしまったのである。いまや |
| 熱の機能としての現代の「火」は、一方では飼いならされた柔順なしもべであ |
| ると同時に、他方ではいつどこで暴走するかもしれない不気味なダモクレスの |
| 剣と化してしまっているのである。 |
| 「火」とは本来は恐いものだ。この文章でも言っているようにガスコンロをひ |
| ねれば火は出てくるし、ライターもこすれば小さい火が出てくる。本当に便利 |
| になった。しかし、火の本来の怖さを忘れている人がいるのではないか。 |
| 私の母は四年ぐらい前に沸騰したばかりの熱湯を足にかけてしまいひどいや |
| けどをしてしまった。足全体が水ぶくれのようになってしまい、きれいに治る |
| まで三ヶ月ぐらいかかった。 |
| 熱湯と「火」の恐ろしさとは直接結びつかないかもしれないが火によってど |
| れだけの熱が得られ、その熱がどんなに恐ろしいかが私にはわかり、怖かった |
| 。昔の人は火を起こすためにいろいろな苦労をした分、火の恐ろしさがわかっ |
| ていたと思うが、今の人はそれがわからない。もちろん僕もその一人だ。 |
| 現代は、次々に新しい技術が発明され、日本の店にもリニューアルされた新 |
| 製品が並び、古い物はセールになる。その速さは驚くばかりで、買うのは簡単 |
| だがなぜそんな便利な物ができるのかは全く理解できない。これからの学生は |
| どんどん覚えなければいけない物がふえてくようで、試験範囲が増えそうでい |
| やな気がする。電球を発明したエジソンや、重力を発見したニュートンは、き |
| っともっとゆったりとした環境の中で発見したに違いない。次々と考え出させ |
| る現代の機械使うことによってじっくり考えたり、努力を怠ってしまうような |
| システムができてしまっているし、人は軟弱になって来ているとも言える。 |
| 「寒さにふるえた者ほど、太陽の温かさを感じる」 |
| という名言があるように、苦労や努力をしたほうが痛みや喜びも感じること |
| ができる。 苦労や努力をしないで得た物重みがないのかもしれない。しかし |
| 、今ある現代の物は便利である。今更毎日、石と木の棒で火を起こして食事を |
| 作るわけにもいかない。それどころか、私は次々に売り出されるオーディオ商 |
| 品をチェックするのが楽しみである。あらゆるところでで私達は現代の便利さ |
| にどっぷり使っている。この便利さを完全に否定できない限り、私達はその技 |
| 術の急速な進歩の中で便利になった分与えられた時間的な余裕を思い切り有効 |
| に使うしかないと私は思う。したがって、これからはもっと時間を大切にして |
| 頭や体も使い笑ったり楽しんだりして、むしろ大昔の人より人間的な人間にな |
| りたいと思う。 |
| この便利さをバネにすれば良い方向にいけるのではないか。 |