| いじめ |
| イチゴ | の | 道 | の広場 |
| くみこ | / | さく | 高1 |
| いじめ |
| □ 磯野久美子 |
| 最近いじめでは、先輩後輩関係のいじめ、いわば「管理されたいじめ」が発 |
| 生していない。一人っ子の多い子供に、世代関係のつきあい方が育っていない |
| からだ。学校でも、差異を示すこと、攻撃性を示すことはなるべく回避される |
| 傾向にあるが、順位を設定しないからいじめが起こるのであって、子供に競争 |
| に勝つことによる優越感を体験させる方がいじめ減らしになるのだ。ただしそ |
| の競争が一つではいけない。自由競争の条件を公平にすることが倫理的な条件 |
| なのだ。 |
| □そもそもいじめというのはなぜ起こるのだろうか。その理由はよく「自分の |
| 位置を確認するため」といわれる。自分が相手より上の立場であることをはっ |
| きり示すためにその人をいじめるのだというのである。しかし本当に自分がそ |
| の相手より勝っているのだというのなら、いじめてまでその立場を確認する必 |
| 要はない。自分が相手より勝っているのか、本当は劣っているのではないかと |
| 不安になるからこそ、いじめてしまうのだ。では、どうすればいじめはなくな |
| るのだろうか。 そこで、この「順位を確定する」という方法は有効だと私は |
| 思う。ちゃんと競争して順位が確定すれば、心配したり不安になることもない |
| 。しかし、その時負けた人、順位が下の人はどうすればよいのだろう。そのた |
| めに、「みんなが勝つ」という大切な条件が加わってくるのだ。もし「では習 |
| 字のうまい順で順位を決定することにしましょう」などといわれたら、私はも |
| しかしたらクラスで一番くらいの順位になってしまうかもしれない。そんなこ |
| とになったら、私はすごく落ち込んで根暗な子になってしまうか、自分の才能 |
| が認めてもらえないことにかんしゃくを起こして暴れ回るかも知れない。もし |
| その競争に「芸術」とか「体育」とか「国語」とか他の項目があれば、私や他 |
| の習字の部でだめだった子も才能を発揮して良い結果を出せるだろう。そうす |
| ればみんなが勝者であり、不安になることも劣等感を感じることもない。 |
| いじめをやめさせるもう一つの方法として私が考えることは、生徒達にふれ |
| あう機会を作ってやるということだ。子供達の中には、話す機会が少なくて、 |
| お互いに分かり合えない、と思っている子が多いように思う。しかし、みんな |
| がふれあう場、例えば文化祭などのようにみんなで何か作り上げていくような |
| 場を教師側が設けてやれば、助け合い、協力していく中で、後は子供達自信が |
| お互いの良いところを勝手に見つけてうまくやっていけるようになると思う。 |
| 私も、同じクラスになった人とはみんな仲良くなるけれど、もし文化祭、体育 |
| 祭、球技大会といった行事がなければ、一回もしゃべらないで一年を過ごして |
| しまう友達だって出てきてしまうと思う。しかし、少しのきっかけさえあれば |
| みんな仲良くなり、一体感を感じるようになって、そこから友情というものを |
| 育てていくことができるのだ。 |
| 確かに生徒達に順位だけを気にさせて、仲間を「敵」と思わせるようになっ |
| てはいけない。しかし、適度な競争は良い意味で彼らに「ライバル」を育てる |
| ことができるのではないかと思う。そして、その競争の結果を受け止め、他人 |
| のも受け止めて、そこから励まし合ったり、助け合ったりすることができるよ |
| うになれば、それこそ最高の仲間ができると思う。例えば「僕らの七日間戦争 |
| 」のように。いじめという問題は現代にあって大変深刻な問題の一つだといえ |
| ると思うが、環境問題に比べれば、お互いの心の持ち方次第で解決できる、本 |
| 当は一番単純な問題なのかも知れない。私達は、その解決の糸口を握っている |
| のだということをはっきり認識しなければいけないのだ。 |