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9月の森リン大賞(中2・中3・高・社の部) as/1058.html
森川林 2010/10/29 11:03 



 9月の清書をもとにした森リン大賞の作品です。



9月の森リン大賞(中2の部68人中)


文鳥

 私は今年、ドイツへ行った。そこでは、私と同い年ほどの女の子が大人の議論をしていたりする。ただ、この自己確立が吉と出るか凶と出るかはわからない。お国柄にもよるだろう。日本では間違いなく浮く存在となる。日本は出来るだけ意見を言わずに慎ましく、耐え忍ぶのが美徳だ。現在、その心情が薄れてきているということも否めないが、それはやはり様々な形で根強く残っている。例えば、意見を強く主張するとそれは異端とみなされ礼儀知らずだと言われる。『出る杭は打たれる』だ。また、反対意見も「善処します」や「考えます」などの、直接的な、つまり、あからさまな反対はしないのが暗黙の了解なのだ。

 個人の自立は大切だ。

 自分という『個』が確立していなければこれからの国際社会では生きていけないだろう。今まで・・・少なくとも、明治になるまでは日本はあまり世界に出て行こうとはしていなかった。それが故に自分のことはあまり立てず、反対に相手を立てるといった独特な物言いが発展したが、それが今や結果的に自分の首を絞めているのかもしれない。勿論、そのような独特な文化を否定するつもりは毛頭ないし、むしろ、そのような文化を私は好ましく思う。だが、その一方で『己の自立』というものを無下には出来ない。

 例えば、私にとって身近な剣道を例に挙げよう。剣道は団体と個人があるが、どちらも1人で試合をする。応援する人はたくさんいても、肉体的にも精神的にも事実、闘うのは自分1人である。どのように動くか、どのように試合をすすめるかは自分の中で考えるしかない。誰かがアドバイスしてくれるようなことはない。また、試合によっては声援の声もあげてはならない試合があり、ある意味孤立する。それに、ガッツポーズをするといった自分の感情を示すような動きをしたら販促だ。自分の気持ちを行動に表すような下手な真似は出来ない。気持ちも己の中に留めて置く他ないのだ。これは、ある意味『己の確立』というものではないだろうか。

 相互の助け合いも大切である。『お互いに馴れ合っているだけだ』と悪く言ってしまうとそれまでだが、だからと言って1人で事を推し進めるのも如何なものだろうか。分からなかったら聞かなければ間違えているかもしれない。人が困っていたら助ける。まあ、これは場合によるかもしれないが、助けるのが人情というものだろう。

 回覧板というものがあるが、これは町内で起きた事件や出来事、お知らせを近所の人に知ってもらうためのものだ。これは、私が見た限りではドイツにはなかったし、近所づきあいがあまりない。となりから醤油を借りてくるというのは論外だし、親が出払うから子供を預けるというのは全くと言って良いほどない。助け合いの精神が薄いというと言葉が悪いが、自分の身は自分で守れといった信条なのかもしれない。

『出る杭は打たれる』ということわざがある。確かに、日本では古くから他の人と違うことをしたら避けられ、仲間はずれにされ、挙句の果てには異端だというレッテルを貼られてしまう。あまりでしゃばれば目立ちたがり屋だと言われ、苛められる。意見の主張と相手を立てることを上手くやっていかなければならない、というのが現状だ。相手を立てつつ、意見も主張する。ということが出来る者が好かれる。

 ヨーロッパにも日本にも良いところがある。どちらが悪いかではなく、1番大切なのは、この2つを上手く調合させ、これからの未来につないでいくということではないだろうか。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1文鳥90143869728587
2他人との協調ゆうたん86115361647393
3いろんな色なまず大使85136054727184
4相対的な考え方たけたけ84103767737587
5行動することについてまーくん8298154777689
6人のあり方ハオハオ81103156687286
7マニュアルをどう使うかチョコ81109459586780
8自分とはタケル80131048617989
9努力して喜びを味わう201系7911154710511087
10相対的なものと絶対的なものフラワ7979748757697



9月の森リン大賞(中3の部59人中)

自然の禁止
嵐ちゃん

 現在の子供たちの心からは自然と触れ合うことの大切さが薄れているといってもいいだろう。犬を生まれてから今まで、一度も触ったことがないという子がいるぐらいなのだから、無くなっているといっても過言ではないのかもしれない。そんな中でも私は、自然を肌で感じる生き方をしたい。

 その方法は第一に、自然を恐れずに立ち向かうことだ。私の通っていた小学校には隣に御成山と呼ばれる山があった。私はその山が大嫌いだった。山の近くに行けば、体の色々な箇所を蚊に刺され、山から下りてきた蛇やたぬきは校舎内に入り・・・。蛇やたぬきに何かをされたわけではないのだが、動物園のようにしつけがされていなくて私とその動物を仕切る柵もないのだから迫力がとてもあり、恐かった。先生達がその動物を捕まえて、山に戻すまで私はその動物がいた場所から一番遠い場所を探し、ずっとそこで友達と話していたものである。そんな自然が大嫌いだった私が初めて登った山、それは御成山だ。毎日のように先生に御成山には登ってはいけない。と言われていたのだが、友達に強引に誘われて仕方なく登ってみたのである。登ったとき、先生に怒られるということより私の頭の中は蛇に会ったらどうしよう、ということでいっぱいだった。山は初めは緩やかな傾斜が続くのだが、途中からだんだん急な傾斜に変わっていく。それとともに、木が多くなっていき周りが暗くなったように感じられた。だが頂上まではとても近かった。20分程度で着いただろうか。周りは木ばかりで下の様子などほとんど見えないが、空気がとても気持ちの良いものだった。半袖、半ズボンという服装だった私と友達は登る途中何回か枝に肌がひっかかったものの、何の動物にも会わずにすんだ。切り傷は痛かったが、何故だか、とても楽しかった。頂上に着いてからしばらくして、山の下から誰かが大声で叫んでいる声がした。熊か蛇が出たのだと思った私達は息をひそめてその場でじっとした。するとまた大きい声がした。息をひそめていたせいか、その声はさっきよりもはるかにはっきりと聞こえた。その瞬間、私と友達2人は熊や蛇のことを忘れて必死に学校とは反対側の方向に山を走って下った。山が急で木が多いので、しりもちをついてそのまま滑って下っていった。途中、何度も枝に引っかかったが無理矢理枝を引っぱって抜いて走った。おかげで、下に着いた頃私達の服は土で汚れ、腕や足は切り傷だらけだった。だが、これは自然を恐れずに立ち向かった証拠である。自然は人間の身体を傷つけるものであるとともに、癒してくれるものでもある。自然と立ち向かうことによって自然は私にそんなことを教えてくれた。

 第二の方法は、大人たちはむやみに子供たちに禁止をするのではなく自然の中で自然の大切さを自ら学んでくる知識を育てるべきだ。私の初めての山登りでの大きな声の正体。それは学校の先生たちだった。私達、山側にいる者からは木が多く、学校の様子を見ることはできなかったが、学校側からは動き回っている姿が見えていたのだろう。1人の男の先生がメガフォンから
「御成山に登っている子達、早く下りなさい。今すぐ下りてきなさい。先生達からはっきりと見えています。下りなさい。」
と言っていた。それを聞いた私達は、
「ヤバイ。怒られる。」
と思い、走って山を下ったのだ。幸い、すぐに山から下りたため、誰が登っていたのかばれることなく、厄介な校長室に呼ばれることなくすんだ。あれから4年後の今、あの頃の自分を不思議に思う。自然と初めて向き合った日から小学校を卒業するまであの後1度も自然と向き合った試しがない。それは、学校側が自然と向き合うことを禁止していたからだろう。本来、うさぎが入っているはずのうさぎ小屋には何もなく、ただ草が敷き詰められているだけ。鶏小屋も同様だった。山に登ってはいけないという規則があれば、同じように近くの池や川には入ってはいけないという規則がある。では、私達子供に何を学べというのだろうか。勉強、友達関係以外にもっと大切なものがあるのではないだろうか。大人になってからでは学べないかもしれない。何でも規則というものに子供達を縛りつけるのではなく、子供達が沢山のことを体で体験して、自分たちで危険だと感じるものには自分で禁止をかける。自らの身を通して自然の脅威を感じることが必要なのではないだろうか。だから大人たちは子供たちに自然のありのままの姿を勉強させるためにもむやみに禁止をしてはいけないと思う。

 確かに子供たちが危険な事をして大怪我をしてしまったりする前に禁止をかけることは大切だ。しかし、「未来には、ひとりでにできる未来と、自分で作る未来との2つがある。」という名言があるように、自分で物事を考えて行動することも大切である。だから私は、自然を肌で感じる生き方をしたい。


順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1自然の禁止嵐ちゃん88199057668189
2動く歩道か茨の道か音楽大好き少年87116959698186
3untitled(^ω^#)ピキピキ86156854848487
4切花文化おむふ8513875910110389
5私は二十前ほど前からトウモロコシ85158453637389
6人の鳥瞰arugebak8485266859186
7非野生の自由だるまー84101369757486
8実は私にもまったく同じ経験が(感)ちえのわ82177261649087
9自然な美しさいちごサクラ81110548536397
10地球の命ポチト8092552667290



9月の森リン大賞(高1高2高3社の部146人中)

欧米化
いすも

 現代、二千四年の地点で、マクドナルドの店舗数が三千五百を越した。渋谷や原宿に行くと髪を金髪に染めて、ピアスをし、メイクやマニュキア、それに欧米ファッションを着こなす女子中高生が増えてきた。カタカナ語も随分と増えたし、アメリカからの輸入品を販売する店舗数も増えてきた。子供のおやつは今や干し柿やするめいかではなく、もはや欧米で人気の高いグミやクッキーとなってしまった。現代日本では、欧米化することばかりを重視することが問題となっている。

 その原因の第一に、日本人が欧米のものを高く評価しすぎていると思う。私はカナダに住んでいるので、周りは白人がたくさんいる欧米文化の中で暮らしている。そしてたまに日本に一時帰国するときに私は毎回驚いてしまう。カナダにどこでもあるようなマクドナルドやスターバックスなどが東京にもあり溢れているではないか。その他にもケア・ベアやエルモなど、欧米キャラクターが日本では大人気である。実際にケア・ベアやエルモなどはこちらの幼稚園児に人気があるので、このようなキャラクターが何故日本の女子高生に人気が高いのか私には不思議である。それに、日本人は地毛がきれいな黒髪なのに、たくさんの人がわざわざ茶髪を好み、染めている。純和風と思われてカナダでは親しまれている黒髪を避けるのだ。これらのように、カナダに住んでいる日本人の女子高生として、私には日本人に対してわからないことがたくさんあるのだ。確かに白人に憧れる思いは分かるが、だからといって彼らの服装を真似したり、髪色や髪型を変えなくても良いと思う。

 原因の第二に考えられるのは、戦後、欧米が日本にもたらした影響が今でも残っているからだ。私はカナダに住んでいる前、父の転勤で沖縄に四年間住んでいた。沖縄は日本で一番欧米の影響がまだ強く残っている県であると思う。特に沖縄の11%は米軍基地であり、しかも沖縄県で一番良い土地が米軍基地として使われている。だから、沖縄に住んでいる時は、日本ながらもアメリカ人との交流がたくさんあったし、基地外でもアメリカのスーパーストアやアメリカのレストランなどがよく見られた。沖縄のアメリカンスクールに通っていたため、そこでできた基地に住んでいるアメリカ人の友達の家によく遊びに行ったりもした。一般人の沖縄市民が基地の中を入るのは禁止されているが、基地の中に住んでいる友達や親戚がいれば通してくれるのだ。基地内は、まったくアメリカ。今、私が住んでいるカナダの光景とあまり変わらないほどである。このように、沖縄に住んでいると自分が日本に住んでいると言う実感がわかない。もちろん沖縄県は立派な日本の県であるが、これ程までにも欧米の影響が強いと本当に分からなくなってしまうのだ。

 確かに、欧米化を重視することも悪くはない。今の時点でアメリカは世界一の国である。このような世界の頂点に立っている立派な国の影響を自国に与えることは悪いわけないだろう。だが、あまりにも欧米化を重視し、日本の純和風文化が壊されていくのはよくないと思う。日本人は欧米化を重視することを一番とするのではなく、自国の文化をまず重視すべきであるというように、いくら欧米社会に憧れても、欧米人に好意を持っても、まず重視すべきであることは自国の文化である。




順位題名ペンネーム得点字数思考知識表現文体
1欧米化いすも91136063928990
2清書まじめさん88130557698193
3海外はブランドさくら86118754718086
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