ログイン ログアウト 登録
 絶対語感の世界 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1099番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
絶対語感の世界 as/1099.html
森川林 2010/12/14 04:49 


 子供が3、4歳の小さいころは、よく親に同じ本の読み聞かせをねだることがあります。飽きずに同じ本や同じ話を何度も聞きたがるのです。

 大人は理解の世界に生きているので、同じ本を読むよりも別の新しい本を読んだ方が意味があるように思いがちです。しかし、同じものを繰り返すというのは、実は大人の理解の世界を超えた何かがあるのです。

 その何かとは、知的な理解ではなく、感覚的な一体化です。

 子供に限らず大人になってからでも、例えばいい音楽を聴いたときはそれを何度も繰り返し聴きたいと思います。1回聴いたからそれでいいとは思いません。何度も同じ音楽を聴いて味わいます。それは、その音楽が、理解の対象ではなく、一体化の対象となっているからです。

 この一体化の感覚を身につける能力が最も成長するのが、3歳から5歳ごろです。

 0歳から2歳のころは、まだ生きることに精一杯の時期です。3歳から5歳は、生き延びることが一段落して、自分が何になるかを決める時期です。この時期に、人間は、狼になるか人間になるかに分かれます。

 この時期に繰り返し与えられた経験が、その子の絶対的な感覚を形成します。つまり、世界の座標軸を作る時期が、この3歳から5歳にかけてなのです。

 3歳から5歳は、知的に何かを身につける時期ではなく、感覚的に身につける時期です。このころ知的に学んだことは、そのときは身についたように見えても、年齢が上がると消えてしまいます。例えば、6歳以前に海外に行き外国語を自由に聞いたり話したりできるようになっても、6歳以降に日本に戻ると忘れてしまうのはこのためです。

 一方、絶対音感は、6歳以前に身につくと言われています。この時期は、音の世界が自分の外にある世界として認識されるのでなく、自分の身体の一部として感覚的に受け取られる時期です。しかし、それはただいろいろな音を聴くからではなく、一定の流れの音、つまりある音楽を繰り返し聴くからです。繰り返された世界が身体化するのです。

 絶対語感というのも、やはりこの3歳から5歳の時期に身につきます。絶対語感というのは、言葉を知的に理解する能力ではなく、言葉を自分の身体のひとつとして感じる感覚です。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
日本語脳(15) 

コメント欄

そういえば 2010年12月18日 7時29分  
 我が家の2人の子供たちも、3~5歳の頃、同じ本の読み聞かせを繰り返しねだりました。 就寝前、5~6冊読んであげていましたが、読んでいるうちにこちらが眠くなってしまったりして・・・。最後に読んだ『ロボットカミイ』など、長めの絵本を「もう一回!」などとせがまれたときは、睡魔との闘いでした。
 高校生と小学生になった子供たちは、今も読書が好きですが、2人の本の好み、国語の基礎力の違いに、あの頃の読み聞かせの内容が影響しているのだと思うと、納得できるものがあります。もっと早く知っていたら!!!ちょっぴり残念ですが、3~5歳のお子さんのいる友人たちにこの記事をお見せようと思います。

森川林 2010年12月18日 8時26分  
 コメントありがとうございます。
 小さい子供が、なぜあんなに同じ本を何度も繰り返して読みたがり聞きたがるのか、昔は不思議に思っていました。しかし、それは大人が普通に読むような理解のための読み方ではなく、言葉を身体化するための読み方聞き方だったのではないかと今は思うようになりました。
 と考えると、国語の勉強は生活の中で3~5歳に始まっているのだと思います。今度、通学教室でそういう勉強を始めたいと思っています。

コメントフォーム
絶対語感の世界 森川林 20101214 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ふへほま (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ふへほま」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
日本語脳(15) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習