ログイン ログアウト 登録
 コミュニケーション・ラーニング(その4) Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1108番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
コミュニケーション・ラーニング(その4) as/1108.html
森川林 2010/12/28 11:54 


 作文における自己との対話とは何でしょうか。

 作文はひとりで書く作業です。だから、どういう方向に話が展開するかわかりません。お喋りの場合は、相手との掛け合いで話が進んでいきますが、作文はそれを自分ひとりの力で進めていかなければなりません。

 このときに必要なのは、全体のあらすじです。自分が書こうとしているものに熟知している場合は、文章は滞りなく進んでいきます。例えば、経験した事実をそのまま書くような文章の場合です。

 しかし、自分の書こうとしているものに未確定の部分がある場合は、文章は考えながら書いていくことになります。この考えながら書いていくときに頼りになるのが、自分が直前に書いた文との対話です。多くの場合、文章を書く人は、全体のおおまかなあらすじを頭に入れながら、個々の文は、その直前に書いた文と関連させながら書いていきます。

 この自分の書いた直前の文との対話を、もっとすっきりと対話中心にしたものが構成図を書くという方法です。自分が書こうと思うものに未確定の要素が多ければ多いほど、構成図であらかじめ考えを深めるという対話が必要になってくるのです。

 しかし、対話の土台になっているものは予備知識です。知識の少ない人どうしがいくら話を交わしても、そこから新しいものはなかなか生まれないでしょう。読む力をつけて知識の土台を広げていくことが、作文を書くための重要な前提であることは言うまでもありません。



 さて、国語力のセルフ・ラーニングということで、語り聞かせ・読み聞かせ、音読・暗唱、読書・問題集読書、作文・構成図などがあると書きました。

 この中で最も大事なものは、幼児期における語り聞かせ、読み聞かせです。

 子供がその国の言語を自然に覚えて使えるようになるのは、親が子供に語りかけることを繰り返すからです。この語りかけの反復によって、子供は、世界を文として理解する能力を絶対感覚として身につけます。

 幼児期に身につける絶対感覚には、このほかに、音楽の感覚、運動の感覚、抽象的な概念としての数の感覚、図の感覚などがありますが、最も重要なものは言語感覚です。それは、人間が生活する世界の大部分は、言語による意味づけが行われているからです。

 周囲の大人による語りかけで、幼児は文を身につけます。ここで大事なのは、個々の単語を身につけるよりも先に文を身につけるということです。なぜかというと、単語は、ある実体を言語で表すという抽象的なものですが、文は、それによって何らかの意図ある行動や結果が付随する人間的なものだからです。

 ある語りかけのあとに、ある行動が続くというのが、人間と人間の関係です。機械に物を覚えさせるには、例えば、リンゴの実体を見せて、リンゴという言葉に対応させるようにすればいいのですが(光学文字読み取り装置のような感じで)、人間はそういうわけにはいきません。「リンゴ、食べる?」(あなたはリンゴを食べますか)という文のあとに、リンゴをもらい、それを食べて味わうという身体的な結果が付随することによって、子供は、「リンゴを食べる」という文を身につける中で、「リンゴ」と「食べる」という単語も身につけます。

 このように考えると、人間の語りかけではない、機械の語りかけ、例えばテレビをつけっぱなしにして幼児に聞かせることが大きな弊害を持つことがわかります。(つづく)



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 

コメント欄

コメントフォーム
コミュニケーション・ラーニング(その4) 森川林 20101228 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
いうえお (スパム投稿を防ぐために五十音表の「いうえお」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習