言葉の森では、facebook(フェイスブック)を情報提供の場としてだけでなく、コミュニケーションの場として活用していきたいと思っています。そこで、現在、行っているのは、さまざまなグループ活動です。
これは、facebook内に、メンバー制によるグループを作り、その中で日常的に話ができるようにしていく仕組みです。グループに参加すれば、自分の関心のある分野に特化した情報でコミュニケーションを交わすことができます。
今あるのは、36グループです。活発なところもそうでないところもありますが、自分の気が向いたときに、グループの記事を読んだり書いたりすればいいので気が楽です。
そして、そういうゆるいつながりで参加しているグループであっても、そのグループでのやりとりは、ときどき自分のウォール(自分用の掲示板のようなもの)に表示されるので、つながりが切れてしまうことはありません。
日本では、まだfacebookが広がっていないので、参加する個人や団体の中には、毎日きわめて頻繁に記事をアップロードするところと、ほとんどfacebookを開かず何日かに一度見にくるだけのところとの両極端があるようです。
アメリカのようにfacebookが普及して日常的なプラットフォームになれば、1日1、2回定期的にチェックするというような使い方が多くなってくると思います。そういう無理のない生活に溶け込んだ使い方がされるようになって初めて共通のプラットフォームとして使いやすくなっていくと思います。
さて、ここで、facebookの持つコミュニケーションの特徴を少し考えてみたいと思います。
インターネットは、これまで一部の人や組織でなければできなかった情報発信を、誰の手でもできるように解放しました。
その典型的なブログやyoutubeです。情報を提供するということは、それまでは新聞社やテレビ局のようなところでなければできませんでした。しかし、技術の制約とコストの制約が急速になくなった結果、今では誰もが特別の苦労なしに、自分で創造した情報を世界中の人に向けて発信できるようになりました。
しかし、これらの情報を自由に情報を発信する人や組織が増えた結果、今度は、求めている情報がどこにあるかを探すための検索エンジンの必要性が増してきました。
ところが、検索エンジンの利用が広がるにつれて、検索エンジンのアルゴリズム(計算方式)の裏をかくSEO対策が現れてきました。
単に裏をかくSEO対策に対応するだけなら話は簡単です。しかし、問題は、そういうSEO対策を意識的に行っているあまり品質のよくないサイトと、SEO対策をほとんど行っていない品質のよいサイトとが混在していることです。
そのため、現在、googleやYahoo!の検索の上位に来ているサイトは、必ずしも上位にふさわしいサイトではないという結果になってきました。
こうなると、インターネットで何かを探す人は、検索エンジンが登場する以前の世界に戻ってしまったことになります。
情報は年々増えていく。しかし、検索エンジンはあまり使えなくなってきた。このような状態で頼りになるのは、信頼できる個人のクチコミです。そこで、facebookのような特定の個人とつながることのできるコミュニケーションサイトが価値を持つようになってきたのです。
googleの検索結果を上位にするためには、被リンク数をかせぐ必要があります。つまり、検索結果の上位に来るのは、ほかのサイトからリンクされている数の多いサイトだということです。
しかし、今は匿名でいくらでもブログが作れる時代ですから、例えば、ある人がいろいろな名前で100個のブログを作り、そこから自分のサイトにリンクをはれば、一挙に100ヶ所のサイトからリンクされたホームページが登場することになります。
そこで、このSEO対策に対応するために、検査エンジンの側が、今度は被リンク数だけでなく、中身のコンテンツの量を評価するようにしたとしても、コンテンツは、いくらでもコピー&ペーストで作ることができます。
バーチャルな世界を前提にするかぎり、人間が作ったアルゴリズムであれば、人間が裏をかくのは容易なのです。
ところが、facebookには、実名制というリアルな世界が結びついていました。これまでのインターネットが、金(きん)の裏づけのないマネーシステムだとすると、facebookは一昔前の金(きん)の裏づけのあるマネーシステムに戻ったというふうにも言えると思います。
実名の裏づけのある個人が評価しているサイトは、匿名のブログから多数のリンクされているサイトよりも評価が高いはずです。(今はまだfacebookも過渡期なので、そうは言いきれない面もあると思いますが)
こうして、多くの人が、googleやYahoo!の検索結果よりも、facebookでの知人の評価の方を信頼するようになっていったのです。
金本位制が復活したら、金(きん)の裏づけを持たないマネーをいつまでも持っていようと思う人はいません。同じ金額が表示されているなら、金(きん)と交換できるマネーを持ちたいとだれもが思うはずです。
facebookがこれから脚光を浴びると思われるのは、こういう時代の大きな流れが背景にあるからなのです。
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高校大学入試小論文の岸 最近増えている、高校、大学の入試小論文。かなり書きにくそうなテーマも出されています。そういうテーマにどう取り組むか、という実践的な話を中心に。 実際の小論文課題を取り上げながら話をしていきたいと思います。