ログイン ログアウト 登録
 激動の時代に子供たちをどう育てるか 3 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1564番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/24
激動の時代に子供たちをどう育てるか 3 as/1564.html
森川林 2012/06/21 20:23 
(春咲きコスモス)

●本当の学力

 塾によっては、中学受験でいいところに入らなければ、高校ではますます差がつき、その結果いい大学に入れず、いい職業にもありつけなくなると脅して早めの受験をあおっているところもあります。そして更に、小5小6になってからでは間に合わないから小3や小4で受験のための勉強をスタートする必要があると脅し、更に、小1や小2まで受験勉強の流れに巻き込もうとしているところもあります。そして更に、幼児教育もそうなりつつあります。

 確かに子供の意欲は周囲の友達によって影響されますから、いい学校に入った子はいい大学を受験することが当然と思いやすいということはあります。逆に、学力の低い学校にいると、周囲の低い志に影響されて、自分だけより上の大学を目指すという意識にはなかなかなりにくいところもあります。しかし、実際には、早めの受験勉強のために、読書や自由時間が不足し本当の学力が育たないまま中学に入り、その後成績が伸びないという子もかなりいるのです。

 子供たちの生活の本文は勉強ですから、勉強を生活の中心にするのは当然ですが、勉強をしすぎたために、子供時代にもう一方の重要な要素である読書や遊びや自由な時間を削ってしまうと、本当の思考力や創造性が育たなくなるのです。

 ところで、そういう本当の学力は小中学生のころはなかなか表面には現れず、高校生や大学生になってから顕在化します。だから、親は今の成績に目を奪われるのではなく、もっと先のことを考え、創造力をたくましくして子育てを行っていく必要があります。

●想像力の必要な時代

 特にその想像力が重要なのは、今が大きな変化の時代だからです。かつては、いい大学に入ればいい会社に就職でき、一生安定した生活ができ、そして会社の成長とともに仕事も拡大し自分自身も成長するという世の中の仕組みが日本にはありました。今も多くの会社では、最終学歴が採用の大きな基準になっています。しかし、日本の社会は高度成長期のような時代を過ぎ、今、経済成長の中心は次々と新興国に移っています。日本が新しい産業を作り出さないかぎり、日本の会社は古くからある有名なところほど、これから衰退に向かう傾向になります。それはちょうどアメリカでGMやフォードが衰退していったようにです。

 特に工業時代に大衆消費財のチャンピオンだった企業は、リストラや派遣社員や外国人労働者や海外移転などによって人件費のコストを下げなければ生き残れないようになってきています。そして、そのほかの産業においても、次々と小さなヒット商品が入れ替わる経済のもとでは、会社の寿命も年々短くなっています。

 いい大学を出たからといっていい生活を送れる保証はなく、更に親の世代よりも子の世代の方がほぼ確実に貧しくなるという夢のない世界に日本の社会は突入しています。そして、この衰退する一本道から抜け出るほかの選択肢はない(海外の発展する国に行くという手はありますが)というのが現実です。しかし、この状態を、新しい産業社会が日本に生まれる直前の過渡的な時代だと認識する必要があります。(つづく)



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

コメント欄

コメントフォーム
激動の時代に子供たちをどう育てるか 3 森川林 20120621 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
なにぬね (スパム投稿を防ぐために五十音表の「なにぬね」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習