ログイン ログアウト 登録
 国語力をつけるための勉強法としての要約について Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1762番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/4
国語力をつけるための勉強法としての要約について as/1762.html
森川林 2013/03/10 06:40 


 今日のfacebook記事に、要約についての話を書きました。

====facebook記事より====

 先日、保護者の方から、「子供に要約の練習をさせたいが、忙しくて見てやれないのでどうしたらいいですか」という質問を受けました。
 その方法は簡単です。親が見てやろうなどと思わなければいいのです。(笑)

 親が要約を見ようとすると、元の文章を読まなければなりません。
 そして、要約が妥当かどうかを評価しなければなりません。

 そういう時間のかかることをしていると、親が忙しいときは子供の勉強が進まないということになってきます。
 親が見てやれなくても、子供の勉強が進むような工夫をすることが勉強を長続きさせるコツです。

 要約の勉強で大事なのは、要約の結果ではなく、要約をするために文章をよく読もうとする過程の方です。
 大事なのは、形に残ったものの方ではなく、形に残っていないものの方なのです。

 「でも、それでは……」という人もいると思うので、続きはホームページの方に書きたいと思います。

====引用ここまで====

 要約の練習について、まず、私があまりよくないと思う方法を挙げます。
 しかし、この方法がいいと思って実行している人もいると思うので、それはそれでかまいません。
 大事なのは、方法ではなく継続することで、やり方が多少異なっていても続けていれば必ず効果が出てくるからです。

 第一は、要約の材料として、新聞のコラムや社説など使う方法です。理由は、コラムは文章が易しすぎるからで、社説は遠回しの書き方が多いからです。
 第二は、段落ごとに要約をして、その要約をつなげてまた要約するという方法です。理由は時間がかかるからです。
 第三は、文章の末尾の方を中心に要約するという方法です。これは方法というよりも、要約らしく見せるためのテクニックであってあまり力はつきません。
 第四は、小学校4年生ぐらいから要約の練習をすることです。要約力には年齢があって、小4では要約は無理です。小5でもかなり難しく、小6でやっと要約らしくなり、中学生になるとずっと楽に要約できるようになる、という感じです。

 では、要約の練習はどのようにしたらいいのでしょうか。

 まず、要約する文章の素材は、入試問題集などの問題文にします。説明文と物語文がバランスよく出てきますし、内容も読み応えのあるものが多いからです。
 ただし、大学入試レベルになると、私立大学の問題文などの中には、わざと読みにくい悪文を出しているところもあるので、そういう読みにくい文章は避けます。

 最初に、文章を読みます。
 そのときに、自分で、面白いと思ったところ、よくわかったところに傍線を引きます。
 大事なところに引くのではありません。というのは、最初は何が大事かわからないことが多いからです。
 色を変えたボールペンで線を引くという人もいますが、それはすすめません。面倒だからです。
 文章を読むときに大事なことは、じっくり読むのではなく、最後まで一気に読み切ることです。なぜかというと、入試問題の文章は、最後まで読んで初めて全体の構成がわかるという形になっているものが多いからです。

 次に、同じ文章をもう一度読みます。
 そのときは、最初に傍線を引いたところを中心に全体を読むので、読み方は一回目のときよりも早くなっています。
 読むときには、また同じように面白いと思ったところ、よくわかったところに線を引きます。2回目に読むときには、大事そうなことも検討がつくので、大事だと思うところにも傍線を引きます。

 3回目は、傍線を引いたところを中心に飛ばし読みをします。
 そして、傍線を引いた箇所だけを何度か飛ばし読みをしていると、文章の全体の構造が自ずから頭に入ってきます。
 この文章の全体の構造が頭に入るようにするために、自分が主観的に面白いと思ったところ、主観的によくわかったところに傍線を引くのが大事なのです。
 客観的な要約をするためには、その土台としてその文章が主観的に自分のものとして読み取れていることが必要だからです。

 文章の全体の構造がわかると、そこで初めて、要約をするのに大事な箇所の検討がつくようになります。
 そこで、大事なところをいくつかピックアップするのです。大事なところを丸で囲んでもいいでしょう。

 この丸で囲む箇所の数は、要約の指定の字数によって違ってきます。
 一般に、一つの文の平均の字数は、50字程度と言われています。易しい文章では短く、難しい文章では長い傾向があります。
 だから、150字の要約だったら3文でまとめるぐらいが目安になります。200字の要約なら、4文か5文でまとめることが目安になります。
 丸で囲んだ箇所を、うまくつながるように途中の言葉を入れてまとめればそれが要約になります。
 要約は、自分なりの言葉で書いてもいいのですが、そうすると採点する人が読み違えやすくなります。文章中のキーワードはできるだけそのまま生かして書いていきます。

 ついでに言うと、要約ではなく記述式の問題の場合は、答えの文章を書くときに、説明や意見をそのまま書くだけでは不十分です。
 自分の書く説明や意見と対比するものを挙げて、輪郭をはっきりさせる文章を書くことが大事です。
 例えば、「○○は、Aである」と書くだけでなく、「○○は、BではなくAである」と書くということです。

 以上、要約の書き方を説明してきましたが、実は要約よりももっといい勉強の仕方があるのです。(つづく)



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 要約の仕方(0) 

コメント欄

コメントフォーム
国語力をつけるための勉強法としての要約について 森川林 20130310 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
るれろわ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「るれろわ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 要約の仕方(0) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 標準新 森川林
 これは、確かに難しいけど、何度も解いていると、だんだん感覚 12/2
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習