ログイン ログアウト 登録
 MOOC(大規模公開オンライン講座)とは対極にある幼・小・中の教育が未来の産業の土台となる Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2107番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/21
MOOC(大規模公開オンライン講座)とは対極にある幼・小・中の教育が未来の産業の土台となる as/2107.html
森川林 2014/03/24 19:06 


 MOOC(Massive Open Online Courses 大規模公開オンライン講座)の動きが世界的に広がっています。世界水準の優れた教材と授業が、ほぼ無料ですべての人に開かれるようになるという動きです。すると、今後、その優れた授業を受けるための、つまりよりよい学校に入るための塾や予備校は不要になっていくことが考えられます。しかし、現在起きているのは、塾や予備校が不要になる前の過渡期における、塾や予備校のMOOC化です。

 これまでの教育は主に、いかに学ぶかではなく、いかに合格するかということを目標としていました。現在のMOOCは、まだその方法は革命的でありながら、その立脚している土台は旧社会のものです。つまり、MOOCの講座の修了証が企業への就職に役に立つ、あるいは企業が優れた人材を採用するためにMOOCに出資するという、企業社会の枠内での大学教育の変革となっているのに過ぎません。つまり、よい会社、よい仕事、よい給与のための大学の予備校化の中で発展しているのがMOOCです。

 この教育の変革運動は、今後急速にグローバルに広がり、世界の大学教育は、大きな変容を迫られます。しかし同時に、このMOOCとは正反対の動きも広がっていくのです。それは、ひとつの理由としては企業社会がこれから変容していくからです。もうひとつの理由は、何を学ぶかということ以前に、いかに学ぶかということが教育の焦点になってくるからです。

 企業社会の変容ということについては、今後の世界の大きな変化を考える必要があります。既に、アメリカドルのデフォルト、中国バブルの崩壊は、多くの人に予測されています。それは、偶然に起こる何かの事件又は事故をきっかけに、一気に誰の目にも見える形で現象化するでしょう。

 しかし、それらの破綻に対する対策は既に考えられているはずです。それは例えば、徳政令、中央銀行の国有化、政府紙幣の発行、国際機関による国際通貨の維持、あらゆる技術公開と情報公開などです。その結果、その後の社会では、不要になるか縮小されるかする産業が出てきます。また、一時的な物価高とそれに対応するための配給制、生活保護の拡大が起きてくるでしょう。短期的には高付加価値産業が衰退し、長期的には価値を創造しない産業が衰退していきます。

 その破綻とそれの続く復興のあと、何が起こるかというと、工業生産はやがてすぐに立ち直り、生産と生活のインフラを提供するようになります。そして他方、農業、教育、政治、医療の分野で、自給自足化の流れが生まれます。この自給自足化の流れが、第二の「いかに学ぶか」に結びついているのです。

 MOOCは、優秀な能力を持ちながらその能力に応じた教育を受ける機会を持たなかった若者に、世界レベルの優れた教育を受ける機会を提供しました。しかし、ここで新たに問題になってくるのは、どうしたら優秀になれるか、つまり、「何を学ぶか」以前に、「いかに学ぶか」ということになるのです。これが、小中学校の教育の課題であり、更には、幼児教育の課題になります。

 幼・小・中の教育のスタイルを、MOOCになぞらえて言うならば、SOOC(Small Open Offline Courses 小規模公開オフライン講座)と言うことができるかもしれません。スモールとは、幼・小・中の教育は、優れた教材や授業によってではなく、身近な指導者、手作りの教材によって多様に行われるべきだからです。というのも、中学校までの義務教育の内容は、根本的に難しいことや時代の先端につながるようなことはなく、既に確立されていて誰でも理解できる基本的なことが中心になるからです。
 しかし、現代の画一化された一斉授業のもとで、基礎教育は、上の方向にも下の方向にも授業に合わない子を生み出し、子供たちの間に格差を生み出しています。だから、これからの教育の目指す方向は、土台は家庭と地域のオフラインになり、しかし、優れた教材はオープンかつオンラインでどこからでも自由に利用できるものになるでしょう。

 そして、それらの教材は、それぞれの家庭や地域で容易に手作りで編集できるものになります。幼・小・中の教材は、誰でも編集に参加でき、誰でも自由に利用できるものになります。同じような動きが、教育にとどまらず、農業、政治、医療の分野にも起きてくるでしょう。そして、これらの発展のあとに生まれるものは、文化の自給自足化です。それは、文化の自主的な創造化と言ってもよいでしょう。
 例えば、俳句、茶道、華道などは、生活の必要から必然的に生まれたものではありません。個人の好みが発展して、普遍性を持つ文化になったものです。同様のことがこれから、文化の大爆発現象として起こることが考えられます。

 一方で、機械化されインフラ化された工業と工業的農業があり、その生産力を土台として、多様で自主的で創造的な文化産業が成り立ちます。
 そのとき、人は、これまでの半分は消費者であり半分は給与労働者であるような時代を去り、自らが文化創造的な生産者であるような時代に入ります。
 そして、それに伴って、教育も、創造性のための教育に変わっていくのです。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
オープン教育(24) MOOC(2) 

コメント欄

コメントフォーム
MOOC(大規模公開オンライン講座)とは対極にある幼・小・中の教育が未来の産業の土台となる 森川林 20140324 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
しすせそ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「しすせそ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
オープン教育(24) MOOC(2) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習