ログイン ログアウト 登録
 個性と創造の時代における学力 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2124番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
個性と創造の時代における学力 as/2124.html
森川林 2014/04/19 07:19 



 これからの子供の教育を考える際に、二つの大きな流れを見ておく必要があります。

 ひとつは、経済の状況がこれから悪くなっていくことが予想されることです。すると、学習塾や予備校などお金を払って他人に任せるような学習から、家庭で学力をカバーするような学習が求められるようになってきます。そのためには、今の時期から、能率のよい家庭学習のスタイルを作っておく必要があります。

 もうひとつは、世の中の教育環境が、これからよい方向に大きく変わっていくことです。例えば、MOOCのように、誰もが世界中の優れた授業を無料で受けられるような機会が増えてきます。すると、よい学校に入るための入学試験は、基本的に不要となります。

 これからは、入学のための試験ではなく、卒業のための試験が重要になるのです。そのときに必要になるのが、中身のある勉強です。

 中身のある勉強とは、真の実力をつけるための勉強です。実力の中には、基本的な学力のほかに、自分をコントロールする自律力、他人と調和できる人間関係力、全教科のバランス、そして、自分らしい個性の強化などがあります。

 日本はこれから、輸出型の社会から内需型の社会へ変わっていきます。輸出型の社会の時代とは工業の時代で、工業の時代には大企業が有利でした。大企業の時代には、個性よりも、みんなと同じことがよりよくできるという能力が要求されていました。

 しかし、内需の時代には、その人でなければできないという個性が重要になってきます。これまでは、馬力によって社会に貢献する時代でしたが、これからは、個性によって社会に貢献する時代になります。そのためには、子供のころから、その子供の興味や関心を大事に育てていく必要があります。

 個性という言葉は、「勉強ができなくても個性があればよい」という文脈で語られることがありますが、そうではありません。これからの時代に必要になる個性は、学力と結びついた個性です。学力と結びついた個性を育てるためには、使える国語、数学、英語、理科、社会を学んでいく必要があります。

 使える学力をつけるためには、第一に、知的な話題をもとにした親子の対話の機会を増やしていくことです。その前提として、幼少期からの親子の対話の習慣を作っておく必要があります。

 第二には、子供が自分で何かを作りそれを発表するという創造的な発表の機会を作ることです。ロボット・プログラミングも、与えられた手順に従ってレゴブロックを組み立てるようなやり方ではなく(そういう基本を学ぶ時期はあるとしても)、自分で工夫して作るという要素が最も大事です。自分らしいもの、ほかの人とは違うものを作成し発表しようとすれば、必ずそこに知的な勉強が必要になってくるからです。

 創造のための知的な勉強の中心になるのは、難しい文章をばりばりと読む力、自分らしい考えをばりばりと書く力です。

 これまでの勉強は、与えられた課題に従順に従い、人間関係よりも勉強を優先し、受験する科目に特化した学力をつけ、個性などは不要という考え方で行われてきました。これからは、その正反対の、自律力、人間関係力、全教科のバランス、個性の強化という要素が必要になってきます。そして、その前提として使える国語力、作文力が必要になってくるのです。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

コメント欄

コメントフォーム
個性と創造の時代における学力 森川林 20140419 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
さしすせ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「さしすせ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習