本を読まないとか、本を読ませてもすぐ飽きるというのには、いくつかの理由があります。
多くの人は、そこで、子供が興味を持つような面白い本がないからだと考えがちです。確かに、誰でも引き付けられるような面白い本というものはあります。そのひとつは、「宇宙人のいる教室」(さとうまきこ著 フォア文庫)。大きな字ですぐに読み出せ、ほとんどの子がすぐに最後まで読み続けてしまいます。そして、内容にももちろん感動があります。
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しかし、本を読まないとか、すぐ飽きるとかの本当の理由は、本の側よりも、むしろその子の側にあります。
それは、第一に、まだ読む力がないことです。例えば音読で時どきつっかえながら読むような子は、まだ読む力がないので、本を読んでいても、その楽しさを味わう以前に、文字を追って頭に入れる苦しさの方が先に立ちます。だから、どうしても長く読み続けられないのです。
では、どうしたらよいかというと、それは読み慣れることです。読み慣れるためには、短いページ数(例えば10ページ以上)でよいので、何しろ毎日読む時間を作ることです。
このぐらいのページ数であれば、強制しても何も問題はありません。むしろ、最初は強制的に読ませなければ読むようにはなりません。読ませれば読む力がつき、読む力がつけば楽しくなります。その逆ではないのです。
本を読まない理由の第二は、親が、その子の読書力よりも難しい本を読ませようとしたり、長い時間読ませようとしたりすることです。しかも、良書と思われているものには、暗い本が多いので、子供は読んでいても楽しくないことが多いのです。
では、なぜ暗い真面目なつまらない本を良書として読ませようとしてしまうかというと、それは子供が本を読まない理由の三つ目です。
子供が本を読まない理由の第三は、親が自分自身楽しく本を読む習慣が持っていないからです。
昔は本を読むのが好きだったということと、今楽しく本を読んでいるかということとは違います。
子供に毎日本を読ませるためには、親も毎日楽しく本を読む生活を続けている必要があります。
親が仕事で忙しくて読めないというのなら、子供も同じように毎日遊びや勉強で忙しくて読めないのです。実際、子供に本を読まない理由を聞くと、ほとんどの子は、「暇がないから」と言います。また、「読みたい本がないから」と言う子もいます。しかし、本当の理由は、読む習慣がないからなのです。
では、どうしたらよいかというと、家族全員で読書の時間を作るのです。
その時間は、例えば10ページ以上と決めて、誰もが自分の好きな本を読みます。本の読めない小さい子がいれば、その子は読み聞かせです。
子供に本を読ませるためには、まず家庭の中で読む環境を作っていくことが大事なのです。
小学校時代、勉強優先で読書を後回しにした子と、読書優先で勉強を後回しにした子がいた場合、どちらの子の方が将来学力がつくかというと、それは明らかに読書優先の子の方です。これは、単純すぎる言い方のように思うと思いますが本当です。
勉強は、いつからでもやればすぐにできるようになります。しかし、読書力や読書の習慣はすぐにはできません。
そして、読書の力という土台があれば、勉強の力はその上にすぐに建てることができるのです。