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言葉の森の先生の話のあとはよく書けるのに、学校ではうまく書けないというケース as/2406.html
森川林 2015/08/27 09:31 


 先日、中学1年生の生徒のお母さんから相談がありました。
「言葉の森の勉強では、よく書けるのに、この前、学校の宿題の感想文を自分で書いたというのを見たら、とてもひどい出来で驚いた」と言うのです。

 こういうことは、小学生の場合は、もっと頻繁にあります。
 言葉の森で先生が書き方を説明したあとに書く場合は、構成や表現を意識して書くので上手に書けます。しかし、そういう目当てがないところで、自由に作文を書くとなると、言葉の森で勉強したことがまだ一般化された形で自分の中に蓄積されているわけではないので、昔ながらの書き方に戻ってしまうのです。

 しかし、実力というのは、目標が与えられたときにその目標が達成できるということですから、これで充分実力がついています。言葉の森で勉強したことが自分なりの書き方として定着し、必要に応じて書けるようになるのは、勉強の自覚ができる中学3年生ごろからです。
 中学1年生のころは、まだ意識的に書くということができないのです。

 昔、真面目に言われたとおりにしっかり書ける小6の生徒がいました。その生徒が、修学旅行の作文を学校で書いたというので見せてもらうと、中心を絞って書くどころか、「朝起きてから夜寝るまで」の感じで、あったことをそのままずらずらと書いているだけでした。構成の意識も、表現の工夫もありません。言葉の森で勉強している成果としては、何しろ長く早く書けたということぐらいだったのです。書く前の事前のアドバイスが10分もあれば、もっといい作文を書ける子なのですが、事前指導がないと、昔に戻って書いてしまうのだということがよくわかりました。

 また、東大の理学部と早稲田の政経学部に進んだ2人の生徒ですが、2人も小学校低学年から言葉の森で勉強をしていました。その子たちの中学1年生のころに書いている作文は、ごく平凡なものでした。構成も表現項目も意識して書いているので、一応はしっかり書けています。しかし、切れ味のよさがないのです。
 ところが、そういう曖昧なことで評価しては、ただ自信をなくすだけです。だから、構成と項目と字数ができていることを毎回褒めていました。
 作文の勉強は週1回ですから、毎回、難しい長文を読みます。欠席もほとんどなく、毎週長文を読んで書いているうちに、高校生ぐらいになると、「これはうまい」というような作文がだんだんと書けるようになったのです。

 作文の勉強は、気の長い勉強です。数学や英語の勉強であれば、短期間の集中学習で成績を急上昇させるということはあり得ます。だから、受験前の夏休みは、この急上昇の機会なのです。
 国語の読解力についても、比較的短期間で成績を急上昇させることはできます。しかし、難しい文章を読み取る力と、上手な作文を書く力は、かなり長い時間をかけて成長するものです。だから、作文の勉強をしている間は、書かれたものはいつでもよいところを見て褒めてあげ、その一方で読書と長文音読を気長に続けていく必要があるのです。

 この気の長い勉強に我慢できず、子供の作文の欠点をすぐに直そうとすると、作文の勉強は続かなくなります。
 学校で書いた作文がうまく書けていようがいまいが、そういうことには気をとらわれず、言葉の森で毎週書いている作文の字数と項目ができているかどうかだけをしっかり見て、毎日の音読と、そしてできればその音読をもとにした親子の対話に力を入れていくといいのです。



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