言葉の森の生徒の毎日の自習としての暗唱は、希望者が1ヶ月で900字の長文の暗唱をできるようにするという形で続けてきました。
暗唱は、やり方さえわかれば誰でもできるという見通しがあったので、以前はできるだけ全員がやるようにすすめていました。そして、今も実際に今やっている生徒のほとんどは、毎日の暗唱が勉強の習慣になっています。
しかし、家庭でお母さんと子供だけで自習をする形ですと、微妙なところで本来の正しいやり方とずれて、暗唱が続けにくくなる子がいました。
例えば、机の前にきちんと座って、ゆっくりていねいに読むというような暗唱の仕方です。やりやすい暗唱は、歩き回りながらでも何をしながらでもいいから場所などは気にせずに、早口で棒読みで読むというやり方です。
また、例えば、わずかの「てにをは」の違いを、内容が合っていれば少しぐらい違っていてもいいと最初に見過ごしてしまい、そのあと直せなくなるという人もいます。暗唱は、最初の数回目が最も大事で、ここで間違って読むとあとからはなかなか直せなくなるのです。
そのほか、文章を見ながらすらすら読むのではなく、文章を見ずにできるだけ思い出して読むような読み方をしてしまう子もいます。すらすら読めるようになるまでは、文章を見ながら音読した方がいいのです。思い出しながら読むと、思い出す読み方が癖になってしまうからです。
このように家庭で正しいやり方で取り組むのは、いろいろ難しい面があったため、暗唱の仕方のビデオを作りました。
しかし、このビデオもまだやや簡単に説明しすぎているところがあるので、今度はもっと本格的なビデオ教材を作りたいと思っています。
さて、言葉の森では、毎週先生が電話指導をするので、毎週の暗唱チェックができるという利点がありました。これは、通常の通信教育ではなかなかできないことだと思います。
しかし、電話だけのチェックでは、中には、長文を見ながら音読して暗唱してしまう子も出てきました。通常は、電話の近くには、お母さんなど家族の人がいるのでそういうことはありませんが、中には子供がひとりで電話で先生と話をするという家庭もあります。そういうところでは、暗唱チェックが形だけのものになってしまう可能性がありました。
また、暗唱チェックは、どうしても聞いている先生が甘くなってしまい、少しぐらい間違えたり、思い出せなくて助け舟が必要だったりしても、せっかく熱心にやっているのだからと合格にしてしまうケースもありました。
そこで、暗唱の自習をもっと確実にできるようにするために、今年から暗唱検定を行うようにし、暗唱検定用の暗唱長文も新たに作成しました。
現在、幼長から高3までの30編以上の新しい暗唱長文は大体できていますが、ルビふりなどの細かいところのチェックに時間がかかり、現在暗唱のページに掲載しているのは1編です。
今後の予定としては、1~3月の間に掲載する予定の3編の暗唱長文(1編が約1000字)を、続けて暗唱できるかどうかをチェックする暗唱検定を3月ごろに行う予定です。
3編続けてですから、約3000字の暗唱です。これを5分以内に間違えずに暗唱できることが目標になります。
暗唱は、正しく(ということは、親子喧嘩などをせずに)やれば、多くのメリットがあります。
例えば、語彙力がつきます。記憶力がつきます。理解力がつきます。表現力もつきます。毎日の勉強の習慣もつきます。また、今回の暗唱長文は日本の古典から選んでいるので、日本の文化に対する感受性も育ちます。
これらがわずか毎日10分の自習でできるのです。
しかも、言葉の森の電話指導の際に先生に暗唱チェックをしてもらえば、暗唱検定までの間の意欲も持ち続けられます。
暗唱検定は、電話ではなくskypeのビデオ通話か、作文検定と同じようにgoogleハングアウトで行う予定です。自宅で検定試験が受けられるので、取り組みやすい検定試験になると思います。