読書力は、子供の学力を形成します。この学力の土台の上に成績があります。
学力の土台を作るのは、毎日の読書と対話です。
成績を決めるのは、毎日の勉強の量と方法です。
学力の土台の上に成績がありますが、低学年のうちは成績は勉強だけで上昇します。それは、まだ学力そのものが小さいからです。
しかし、高学年になると、成績は勉強だけでは上がりません。学力の土台というものが重要になってくるからです。
たまに、「読書は学校でしているから、家ではしない」という子がいます。
読書は、毎日の生活の中でしていくことが大事なので、読書の場は基本的に家庭です。
家庭で読書をしない子が増えてきたので、それを補うために学校で読書の時間を設けるようになったのです。
学校でするから、家ではしなくていいというのではありません。
しかし、中には、家庭で毎日本を読むということが習慣になっていない子もいます。
そこで、毎日の読書のハードルを下げるために、言葉の森では、「毎日10ページ以上」「自分の好きな本を」ということを読書の基本にしています。
このようにすると、読書が苦手な子や、読書の時間があまり取れない子は、ぴったり10ページで読書を打ち切ります。しかも、易しい楽な本しか読みません。
ここで、親は、「もっとたくさん読んだら」とか、「もっと難しい本も読んだら」と言ってはいけないのです。そういうことを要求すると、毎日読むことが負担になり、結局長続きしなくなるからです。
しかし、この状態を子供が続けることは仕方ないとしても、そして、親はそれを一応手放しで認めてあげることが必要であるとしても、親が心からこの水準で満足していいというのではありません。
親は常に、その子が、10ページよりももっとたくさん読むこと、易しいだけの本よりももっと高度な本を読むことを、将来の読書の方向として考えておく必要があるのです。
そのために、必要なことは、第一に、読書の時間を工夫することです。10ページでいいから勉強の前にちょっと読ませようというのでは、読書量は増えません。読書は、勉強などの必要なことがすべて終わって、あとは遊んでも寝てもいいような次の時間に余裕のある時間帯で読ませるようにしておく必要があります。
第二は、子供の興味や関心を見つけることです。本人が関心を持っている分野であれば、子供は難しい本にも手を出そうとします。そのためには、図書館などを利用して、いろいろな本を用意しておくことです。最近、「○年生の読みもの」などというタイトルで有名な短編がコンパクトにまとまっている本もありますが、そういう教科書的な本は、子供が熱中して読むということがあまりありません。やはり、親がその子のことを考えて本を探してくることが大事なのです。
第三は、子供の読書力を見きわめることです。たとえ興味のある分野の本であっても、子供の読書力以上のものを与えると、やはり読み続けることは難しくなります。そういう本の場合は、ときどきは親が読み聞かせをしてあげることも必要になります。
第四は、複数の本を並行して読むようにすることです。いつも1冊だけ読むという読書スタイルだと、興味はあるが難しい本や、易しいが興味のない本などにぶつかったときに、そこで読書が止まってしまうことがあります。いくつかのバイパスがあれば、読書の習慣をずっと継続することができるのです。
こういう、より多く、より高度にという読書生活ができるように、言葉の森では、小学校1年生から3年生の生徒を対象にした読書実験クラブというものを行っています。これは、オンライン講座なので、時間さえあればどこからでも参加できます。