今の子供たちは、小さいころからいろいろな習い事をしています。
しかし、その習い事に追われて、読書が後回しになっている子が多いのです。
低中学年のころは、読書の不足というのはあまり目立ちません。
読書の不足から来る国語力の低下が大きな問題となってくるのは高学年からです。
しかし、その根は低学年のころから既に生まれています。
国語の成績をよくするコツは、ひとことで言えば難しい文章を読み取る力をつけることです。
物語文の場合は、複雑で屈折した心情を読み取る力です。登場人物の気持ちに共感する力と言ってもいいと思います。
テレビやゲームなどの勧善懲悪の単純な世界に浸っている間は、こういう複雑な心情の読み取りがなかなかできません。
説明文の場合は、抽象的な語彙で組み立てられている話を理解する力です。
この物事を抽象化する力は、小学5年生あたりからついてきますが、それ以前の低学年のうちに既に読み取り力の差は出ています。
簡単な例をあげると、「これからは物の時代ではなく事の時代だ」などという文を読ませれば、小学校低学年の子も高学年の子も普通に読むことができます(漢字にルビがふってあればですが)。そして、書かれていることは表面的にはわかります。
しかし、その読み取りの深さは、本人の抽象化する力によって大きな差があります。
説明文を読んで面白さを感じる子は、この読み取る力のある子です。説明文を読むと眠くなるのは読む力のない子です。
この読み取りの深さの差が、将来の国語力の差となってきます。
では、どうしたらよいかというと、その対策はただ一つ、そういう難しい文章を読み慣れることなのです。
言葉の森では、小3から感想文の勉強に入るので、説明文の長文を読んで感想を書く練習をするようになります。
この準備として、家で長文を事前に読み、その長文に関して家族で話をし、両親に似た話を聞いてくるような子は国語力がついてきます。
そのきっかけ作りの一つとして、思考発表クラブでは、作文の予習となる話をして両親との対話がしやすくなるようにしています。
もう一つ、自主学習クラスでは、問題集読書をして難しい文章を読む練習をしています。
また、どちらも、読んでいる本を友達や先生に紹介してもらい、読書に関する意識が高まるようにしています。
今の世の中は、映像やアイコンや短い文章が氾濫しているので、長い文章を読み取る力は年々低下しています。
これが、自然に任せていれば、本を読むようになり、やがて難しい読書に進むようになった過去の時代との大きな違いです。
今は、家庭学習の一環として、文章を読み取る力をつけていくことを真剣に考えなければならない時代です。
その読み取る力は、あらゆる勉強に優先して行う必要があるのです。
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国語の成績をよくするための三つの対策
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国語の成績をよくするためには、まず国語の成績が悪い原因を考える必要があります。
「国語の成績だけが悪かったんです」と、テストを持ってきてくれる中学生がいます。
子供も親も、たぶん先生も、点数にしか目が向きません。国語のテストの点数がよい子が、国語力のある子と考えてしまうのです。
テストの中身を見れば、その点数がどういう原因でそうなっているかがわかります。
以下、その原因をもとに、どうしたらよいかという対策を書いていきます。
成績が悪い原因は、大きく三つに分かれます。
第一は、勉強していないことです。
第二は、解き方のコツを理解していないことです。
第三は、読む力がないことです。
点数が悪いだけで偏差値上は何も問題がないということもあります。だから、本当は点数ではなく、平均点との差や順位の方が大事なのです。
第一の「勉強をしていないこと」は、問題を見ればわかります。
中学生のころの国語は、問題の分野が、漢字、文法、古典、読解、記述などに分かれています。
定期テストは出題範囲が決まっているのですから、漢字は読みも書きも全部できていて当然です。ここで数問間違えていたら、それは勉強をしていなかったということです。
次の文法も、古典も、同じです。これは、国語力ではありません。単なる国語的な知識の問題ですから、文法と古典ができていなかったら、そのための問題演習をしていなかったということです。
こういう言い方はよくないかもしれませんが、先生は点数に差をつけやすくするために問題を出しています。文法と古典は、勉強しているかいないかではっきり差がつき、問題も作りやすいからテストの問題となっているのです。
一度テストを受ければ、その先生がどういう傾向の問題を出すのかわかるのですから、それを毎回同じように文法と古典で点を落とすのは、勉強の対策ができていないということです。
漢字、文法、古典で×がいくつかあると、そのあとの記述の問題も自然に辛くなります。逆に、漢字、文法、古典で○が続いている生徒には、先生の心理として、記述も甘めに採点したくなるのです。
対策は、簡単です。定期テストの前に、時間を取って国語の出題範囲の勉強をすることだけです。
第二の「解き方のコツを理解していない」場合です。これも、問題と答え方を見ればわかります。
共通点は、問題文をきれいに、何の傍線も引かずに読んでいることです。そして、選択問題も、ただ合っていそうなものに○をつけて選んでいるだけです。
読解の点数を上げるには、問題文には必ず傍線を引いて読み、選択肢はどの選択肢についてもなぜその選択肢が○でないかというメモをしておかなければなりません。
何度も書きますが、テストの多くは差をつけることが目的です。感覚的に合っていそうなものを選べば×になるように作ってあるのがテストです。だから、その裏を読んで、合っていないものを理詰めで消去していって残ったものを○にするのです。
作文を読んでいると、その生徒の本当の国語力が大体わかります。作文はよく考えて書いているのに、国語の成績が悪いという生徒は、この解き方のコツを理解していないか、理解したつもりになっていても実践していないかのどちらかです。
こういう生徒は、実際の問題と照らし合わせて1、2時間も説明すれば、すぐに成績が上がります。中1や中2で、数学も英語もよくできるのに国語の成績だけが悪いという人がときどきいます。こういう生徒に解き方のコツを説明すると、次のテストからすぐに成績が上がります。そして、中3になるころには、「苦手だった国語がいちばん成績がよくなった」という嘘のような話になるのです。
これは、高校生でも同じです。高3の8月ごろというのは、もう実力もほぼ固まってきているころですが、この時期に、国語の苦手だという生徒に、センター試験の解き方などを説明すると、次の回から一気に成績が上がります。しかし、それはもちろん本人の読む力の範囲でのことです。
第三は、その「読む力がない」という原因です。
小学生では、文章を音読させてみると、たどたどしくしか読めないというのが、読む力のない状態です。それは、本人のせいではありません。だから、子供を叱るのではなく、親がまず反省して、気長に簡単なところから読書の生活を始める必要があります。
よく、「うちの子はどんなに言っても本を読まないんです」と、まるで本人が悪いかのように言う人がいますが、小学生の場合、本を読まないのは、子供の問題ではなく親の工夫の仕方の問題です。
話は変わりますが、今、寺子屋オンエアでは、勉強の前に読んでいる本を見せてもらい、勉強が早めに終わったときはその本を読んでおくようにしています。それだけで、どの子も毎日本を読むようになります。読書は、その生徒にとって難しすぎる本を与えていないかぎり、誰でもすぐにできるものなのです。
中高生では、さすがにたどたどしく読むという生徒はいません。しかし、中高生の読む力は、難しい言葉を知っているかどうかということに現れます。大学入試でよく出てくる「恣意的(しいてき)」などという言葉がその例です。こういう言葉が読めないということは、意味も理解できていないということです。
国語の問題文の中に、自分の知らない語句がいくつかあると、その文章を表面では読んでいても、中身が理解できなくなります。特に、高校入試や大学入試の問題文は、やはり点数の差をつけるためにだ作られていますから、文章の最初の方に特にそういう読みにくい言葉が並んでいることが多いのです。問題文を最後まで一息で読めば、全体は理解しやすくなるのですが、語句を知らない生徒は最初の方で時間がかかり、一息に読むということができません。
読書でもそうですが、最もよい読み方は、できるだけ早く全体を読み終えるということです。時間をかけて何日もかけてじっくり読んでいると、かえって全体像が頭に入りません。国語の問題文も、すばやく読み切ることが大事です。
では、中高生が読む力をつけるためには、どうしたらよいかというと、それもやはり読書なのです。先ほどの「恣意的」などという言葉が入っている文章を読むことが、読む力をつける最良の道です。しかし、そういう本を実際に読める子はなかなかいないので、そのために、言葉の森がすすめているのが問題集読書です。しかし、この問題集読書も、家庭ではなかなかできません。その理由は、形の残る勉強でないことと、読む力が伴わないうちはやはり面白くないということがあるからです。そこで、これも、寺子屋オンエアで行う勉強の中に組み込むようにしています。
国語の成績が悪いという場合は、以上のようにいくつかの原因があります。お父さん、お母さんは、点数だけ見て判断せずに、まずその問題の中身を見て、自分も一緒に問題を解いてみてください。そうすると、成績の悪い原因がどこにあるかがわかり、対策も立てられるようになります。
このように考えると、国語の成績とは、国語力とは少し違うのです。入試が過酷になると、成績と学力は更にずれてきます。それは、どの教科でも同じです。
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