ログイン ログアウト 登録
 直すのが難しいが効果の薄い漢字、直すのが易しいが効果の高い読書 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 3335番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
直すのが難しいが効果の薄い漢字、直すのが易しいが効果の高い読書 as/3335.html
森川林 2018/06/07 10:40 

 発表学習クラスのミニ懇談会で、「作文を漢字を使わずにひらがなばかりで書いている」という相談がありました。
 これは、男の子には特によくあることです。

 漢字を使わずにひらがなばかりで書くというのは、とても目立つことなので誰でも直したくなります。
 また、漢字を書ける大人にとってみれば、漢字を使うことなど心掛け次第でわけなくできることのように思いがちです。
 ところが、これがなかなか直らないのです。

 漢字を書かない子というのは、ほかのことがすべてできて、漢字を書かないところだけができないというのではなく、ほかのことでもできていないことが結構あります。
 だから、直すことにかなり力を入れなければできないような漢字を書かせることに力を入れるよりも、もっと大事な学力の中心である読書に力を入れるということを最優先してやっていくのがいいのです。

 そして、漢字を書くことについては、すぐには直らないものの、毎回、「なるべく漢字を使って書いた方が見た目がよくなるよ」ということを優しく繰り返し言ってあげるのです。

 繰り返し同じことを聞かされることによって、子供はだんだんと、なるべく漢字で書こうという気持ちを持つようになります。
 そして、本当に少しずつ漢字を書く割合が増えてくるのです。

 これを、一挙に漢字を書くようにさせるというのは無理があります。
 少しずつ漢字を書くように仕向けていくことが最善の方法で、そして漢字とは一見関係がないように見える、しかし学力の中心となる読書に最重点を置いていくようにするといいのです。

 また、普段の作文はひらがなばかりで書いていたとしても、清書のときだけは、使える漢字は漢字で書くというふうにするやり方もできます。
 年中漢字を使うのは無理としても、焦点を絞って漢字を使うというのであれば、子供はそれなりに納得して取り組むからです。

 漢字を使えないことによるいちばんの問題は、間違えたまま覚えている漢字がわからないということです。
 これは、大人になってからでも、小学校中高学年で習ったはずの漢字を正しく書けない人がかなりいることを見ても分かります。

 漢字の書き取り力は、真面目に勉強しているかどうかということに比例するので、漢字を正しく書ける人は真面目に勉強した人です。
 漢字を正しく書けない人は、真面目に勉強していなかった人で、男の子のほとんどは、真面目に勉強していなかった方に入ります(笑)。
 小学校時代に、真面目に漢字の勉強をするというのは、よほど親がしっかりやらせないかぎり、決して自然にできることではないからです。
 漢字の書き取り力は、学力とは全く関係なく、ただ真面目に勉強したかどうかだけなのです。

 さて、話は先に進みますが、ひらがなを漢字に直す場合、辞書を引くというやり方はこれからはなくなっていくと思います。
 大人の場合は、キーボードで打って漢字変換をして確かめるというやり方をしている人がほとんどだと思います。
 今後、もっと広がるやり方は、音声入力で漢字変換を自動的に行うことです。
 更に先に進めば、アマゾンエコーやグーグルホームというロボットのようなものを横に置いて、「この漢字どうやって書くんだっけ」「コウデスヨ」というような時代になると思います。

 そして、人工知能を使った手書き認識の時代になれば、ひらがなで書いた文字も自然に正しい漢字に直るようになります。

 そう考えると、漢字が正しく書けるかどうかというのは、今の時点でこそその人の教養を測る尺度のようなものになっていますが、近い将来は、評価としてほとんど考慮されないものになってくると思います。

 ところが、では、漢字を勉強しなくていいかというと、ここで大逆転があるのです(笑)。
 それは、漢字、ひらがな、アルファベットなどを比較した場合、漢字だけは、同じ文字でも画像的な文字として認識されているからです。
 だから、漢字の書き取りはほどほどでもよいが、読み取りだけは学校で勉強する以上に進めていくのがいいのです。



コメント欄

森川林 2018年6月7日 10時49分  
 作文で、よく相談されることが、「字をていねいに書かない」「漢字を使わない」です。
 しかし、このふたつは、直すのがきわめて難しいのです。
 そして、学力に関して言えば、直したことによる効果はほとんどありません。
 その反対に、毎日好きな本を10ページ読むというのは、誰でもできる簡単なことです。
 しかし、この効果は絶大で、誰でもここから学力が伸びていくのです。


nane 2018年6月7日 10時54分  
 漢字の書き取りは勉強時間に比例し、読み取りは読書力に比例します。
 だから、まず読み取りの力だけを先行してつけておくといいのです。
 言葉の森では、千字文のように、常用漢字をすべて使った漢字集を作っていますが、いつかこれで漢字先取り読み取り学習をしていきたいと思っています。


コメントフォーム
直すのが難しいが効果の薄い漢字、直すのが易しいが効果の高い読書 森川林 20180607 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
もやゆよ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「もやゆよ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
漢字(17) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン