2016年4月からスタートした暗唱検定の合格者が、2018年6月の時点でのべ83名になりました。
生徒の自主的な参加に任せる形で行っているにも関わらず、このように多くの生徒が合格していることに感心しました。
暗唱検定の初段は、約12,000字の文章を30以内に読むという内容です。
これに合格した子が、既に3人もいました。
暗唱の経験のある人は、この30分の暗唱ができるようになるまで、毎日10分の練習をどれだけ続けたかわかると思います。
12,000字の暗唱が完璧にできるようになるには、順調に行っても1年はかかります(普通の人の場合です)。
これだけ時間をかけると、この暗唱はほぼ一生身についたものになります。
この暗唱練習には、大きな効果があります。
まず暗唱によって頭脳が活性化するだけではなく、気持ちも活性化し、何事も積極的に取り組むようになります。
また、文章の理解力がつき、語彙力が増え、表現力が増し、ものの考え方が深まります。
暗唱の練習は、これまで家庭の取り組みに任されてきましたが、オンラインの少人数クラスで暗唱チェックをすることで、誰でも楽に取り組めるようになりました。
そこで、これからは、この暗唱練習の普及にも力を入れていく予定です。
さて、この暗唱は、日本国内の生徒はもちろんですが、海外の日本人生徒には、更に大きな効果があります。
海外で生活する小学生の子供がいる家庭では、その子の日本語力をどう維持していくかということで日々苦労していると思います。
幼児期はまだしも、現地での学校生活が中心になると、子供はどうしても現地の言語を優先し、日本語は家庭の中だけで使うようになりがちです。
友達との交流の中で使う言語が最優先されるというのは、成長期の子供にとって当然のことだからです。
ところで、小学1年生から3年生にかけては、日本語脳が形成される臨界期だと言われています。
現地の言葉(例えば英語や中国語)が自由に使えるようになっても、肝心の日本語がうまく使えなくなっては、総合的に見てプラス面よりもマイナス面の方が大きくなるのではないかと思います。
そこで、言葉の森が考えているのは、この小学1年生から3年生の時期に、日本語暗唱検定を目標にして毎日10分間の暗唱の練習を続けることです。
小学1年生から3年生は、ちょうど暗唱が最もたやすく身につく時期でもあるからです。
友達と一緒に、オンラインで毎週の暗唱チェックがあるという環境であれば、半ばゲームのような感覚で暗唱の練習を続けることができます。
そして、暗唱は、ある程度できるようになると、今度は、声を出してリズム感のある文章を暗唱することが楽しくなってきます。
言葉の森の暗唱検定の暗唱文は、日本語の古典の、既に文化として定着している文章で、リズム感のあるものを中心にしています。 しかも、単に有名な文章だから選ぶというのではなく、その文章に、日本的な情景描写、心情感覚、人間観、人生観、自然観のあることを重視しています。
この毎日10分間の暗唱練習による日本語力の育成が、海外で暮らす生徒にとっては、簡単でしかも効果のある方法になると思います。
▽発表学習コースでの暗唱チェックの例
(こういう暗唱チェックを、少人数クラスのオンラインの授業の中で毎週行っています。)
https://youtu.be/XIYCDBi6dn4