家庭で勉強する教材の中には、答えを書く形のものが多いと思います。
作文力をつけるという勉強でも、文章を書き写すとか、文章を要約するといった勉強がよくあります。
なぜ、このように書く形の勉強が多いかというと、勉強している様子が外から見てもわかることと、勉強した跡が、自分にとっても他の人にとってもよく分かるからです。
しかし、書くという作業は、読むという作業に比べて、5倍から長いときには10倍近くので時間がかかります。
すると、文章を1回書き写す勉強というのは、その同じ文章を5回繰り返し読む勉強と同じ時間がかかることになるのです。
どちらが力がつくかといえば、1回だけ書くよりも、5回繰り返し読む方です。
勉強は、中身本位にやっていくことが大切で、外側の体裁は二の次です。
家庭では、できるだけ中身を優先して、読む勉強を中心に行っていくといいのです。
さて、その読む勉強にも、二通りの読み方があります。
一つは、他の人にもわかるようにしっかりと丁寧に読む朗読のような読み方です。
もう一つは、自分にだけわかればいいという読み方で、つぶやくような読み方です。
どちらの読み方が良いかというと、これは自分にだけわかる、つぶやくような読み方の方がいいのです。
なぜかと言うと、朗読のような読み方では、外に向けて読むことに気を取られて内容の理解は二の次になることが多いからです。
音読は、読んでいることが自分に分かればいいという読み方でいいのです。
もちろん、音読によって読み間違いがわかることがありますから、近くにいるお父さんやお母さんにも内容が大体分かるような読み方をすることは必要です。
しかし、近くで聞いているお父さんやお母さんは、「読み方をもっと上手に」などという注意は決してしないことです。
さて、この音読について、繰り返し読む必要はないなどと言う人がいます。
内容の理解の方が、音読の回数よりも大事だというのです。
そういう考えが出てくるのは、音読の意味をよく理解していないからです。
易しい文章であれば、回数の多い少ないはそれほど大きな差になりません。
しかし、読む文章が難しくなってくると、1回しか読まないときは、自分の理解できる部分しか理解しない読み方になっています。
2回繰り返して読めば、1回目には気がつかなかったことが理解できます。
3回、4回、5回と繰り返して読めば、繰り返せば繰り返すほど、新しい理解が付け加えられてくるのです。
これは、読書も同じです。
1回目に読んだときと、2回目、3回目と繰り返し読んだときとでは、内容の理解に大きな差が出てきます。
だから、1冊の教材は、5回以上繰り返すことが大事なのです。
また、音読よりも黙読がいいというのも、音読の意味をよく理解していない考えです。
繰り返し読む場合は、音読でなければ続けることが難しくなります。
同じ文章を、2回目、3回目と黙読で読んでいれば、途中から必ずと言っていいほど斜め読みになってしまうからです。
勉強は、読むことを中心にして、できるだけ音読で、そして1回だけでなく時間をおいて5回以上繰り返して読むというような読み方で実力をつけていくのです。