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暗唱の意義――暗唱は創造性を育てる as/4575.html
森川林 2022/11/21 09:03 


●動画:https://youtu.be/EXKDWNIchX0

 暗唱をすると、言葉と言葉の関係の繋がり方が強くなります。
 ちょうど、よく知られていることわざや名言のように、ある言葉と他の言葉が結びつくようになります。

 言葉は、その言葉だけであれば、現実との関連を持つだけです。
 例えば、「犬」という言葉は、実在の犬と結びついています。

 しかし、「犬も歩けば棒に当たる」ということわざを知っている人には、「犬という言葉が、「棒」という概念が弱く結びつくようになります。
 同じように、「雀そこのけそこのけお馬が通る」という俳句を知っている人には、「雀」という言葉が、「馬」という概念と弱く結びつくようになります。

 ある言葉が、その言葉と直接の関係のない他の言葉と結びつくということは、言葉の持つ概念の手足が増えるということです。
 言葉の持つ概念の手足が増えるということは、その言葉が近い概念と結びつく手足だけでなく、遠い概念と結びつく手足も持つということです。

 言葉が狭い概念と結びつくだけでなく、広い概念と結びつくことによって、たとえやダジャレのような表現の工夫が生まれます。
 しかし、これは単なる表現の工夫だけではなく、ものごとの認識の仕方の広がりも生み出します。
 この認識の広がりが創造性です。

 よく「創造性を育てる」ということが言われますが、創造性を育てる具体的な方法については、ほとんど述べられていません。

 創造性を育てる方法は、次のようなものです。

 第一は、暗唱力をつけることによって、言葉の持つ概念の広がりを作ることです。
 第二は、難読によって、創造的なものの考え方を身につけることです。
 第三は、作文の構成、題材、表現、主題の項目によって、方向性を持ったものの見方の練習をすることです。
 第四は、創造発表の学習によって、個性と創造性を発揮する学習習慣を身につけることです。

 作文学習の持つ創造性とは、次のようなことです。
 構成で、例えば、「複数の理由」という項目に合わせて作文を書こうとすると、自然に新しい理由を考えるようになります。
 題材で、例えば、「昔話の実例」という項目を書こうとすると、自然に昔話のような実例の持つ新しい側面を見つけることができます。
 表現で、例えば、たとえや自作名言を書こうとすると、自然に新しい表現を作ることができます。
 主題で、例えば、「総合化の主題」という項目に合わせて意見を書こうとすると、自然に新しい考え方ができるようになります。

 これらの創造性を発揮する土台となるものが、豊富な知識と幅広い語彙の概念です。
 幅広い語彙の概念とは、言い換えれば多様な手足を持つ語彙の力を身につけているということです。

 暗唱教育は、かつての日本の伝統でした。
 四書五経の素読などを、日本の子供たちはずっと行ってきました。

 しかし、戦後、GHQの改革によって、暗唱教育は行われなくなりました。
 だから、今の親の世代、更には、祖父母の世代も、暗唱の効果を知りません。

 暗唱を、単に記憶力を育てる学習としてではなく、創造性を育てる学習の土台として考えることが大切です。



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コメント欄

森川林 2022年11月21日 11時27分  
 私の知っている限りの話ですが、優れた創造的な仕事をした多くの人が、子供のころに暗唱の学習をしていました。
 シュリーマン、湯川秀樹、本多静六、塙保己一、藤平光一など。
 江戸時代から昭和初期までの日本の子供たちのほとんどは、学校で暗唱の練習をしていたはずです。
 それが、日本人全体の学力の基盤になっていたのだと思います。

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