●動画:https://youtu.be/txkv0qX8PWw
私(森川林)が、40年ほど前に、作文教室を始めたときに思ったのは、「国語の勉強を教えるような教室にはしない」ということでした。
そういうことは、誰でもやれることだと思ったからです。
しかし、あとで、そうではないことがわかりました。
国語を教える教室というのは、ほとんどなかったし今もないからです。
国語教室以上に、作文教室というのは、当時どこにもありませんでした。
だから、言葉の森が日本で初めての作文教室でした。
始めたばかりの作文教室の生徒は、どの子も優秀な子ばかりでした。
勉強には余裕があるから、新しい面白いことをしてみたいという子供たちが多かったからです。
言葉の森は、作文の勉強を教える教室ではなく、作文を通して創造力や思考力を育てる教室としてスタートしたのです。
今、そういう当初の理念に戻って考えると、これからの教育は、教える教育ではなく創造する教育でなければならないと、改めて思い直しました。
これまでは、言葉の森も、勉強を上手に教えることに目を向けていましたが、上手に教えることは、今後ChatGPTによってカバーされるようになります。
国語も、算数数学も、英語も、ChatGPTが、それぞれの生徒に応じた的確なアドバイスをしてくれるようになるのです。
個人指導という言葉は、集団指導に対する新しい概念として広がっていましたが、その個人指導も、今後は時代遅れになります。
ところで、ChatGPTには、すぐに後続の大規模言語モデルの仕組みが次々に出てくるはずですから、以下、ChatGPTではなくより広範なAIという言葉で呼びます。
AIの発達によってなくなる職業には、今後、教師の仕事も入ります。
答えのあることを教えるというのは、しかも、その子の理解度に応じて気長に教えるというのは、AIの最も得意とすることだからです。
未来の子供たちは、自宅で、AIに教えてもらいながら、小中高の学年に必要な基礎学力を学ぶようになります。
これまでの学校で残るものは、友達との交流、先生との対話になります。
勉強の中身は、人間が教えるよりもずっと的確にAIが教えてくれるようになるからです。
そのときの学習の形態は、オンラインの少人数クラスになるというのが、私の予測です。
30人の集団指導でもなく、マンツーマンの個人指導でもなく、4~5人の同レベルの少人数のクラスで発表と対話と交流を行うことが学校の役割になるのです。
では、そのときの学校での教育の中身は何になるかというと、それは吸収と再現の対極にある学習、つまり創造と発表です。
これからのオンライン少人数クラスの学習の中心は、作文、プログラミング、創造発表など、少人数の創造と発表と対話と交流のあるものになっていきます。
そして、国語、算数数学、英語などの教科の学習も、やはり発表と対話が中心になっていくのです。