ログイン ログアウト 登録
 英語教育のし過ぎにならないように。日本人は、母語である日本語が学力の土台。日本語力の土台の上に、外国語を学ぶという姿勢が大事。 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 5068番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/4
英語教育のし過ぎにならないように。日本人は、母語である日本語が学力の土台。日本語力の土台の上に、外国語を学ぶという姿勢が大事。 as/5068.html
森川林 2024/05/16 08:43 

ヤマアジサイのつぼみ



 日本人の学力の土台は、日本語です。
 こういう単純なことがわからない人があまりに多いので、この記事にはいろいろなクレームがあるだろうことを承知の上で書いておきます。

 昔、レストランで、後ろの席にいた親子連れで、子供がまだ幼児だったと思いますが、母親が熱心にカタコトの英語で話しかけていました。
 教育熱心なのは、いいことですが、その熱心さの方向が違うと思いました。

 英語教育の第一人者とに言われるような鵜沢戸久子さんが、幼児期から英語をシャワーを浴びるように聞かせるといいという最初の方針を改め、「幼児期は、英語のCDは15分程度で留めることが必要」と書くようになりました。
日本人の小学生に100%英語をマスターさせる法

 幼児期から英語をさせすぎる弊害を感じたからです。
 幼児期からの英語学習によって、英語の日本語も、どちらも不十分になるということなのです。

 英語教育者の渡部昇一さんは、「英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし」という本を出しています。
 英語教育に携わる人は、こういう本を一度は読んでおくといいと思います。

 以前、教育系の雑誌で見た記事ですが、日本で暮らしている小学校高学年の子供の保護者が、「うちの子は、日本語の本より、英語の本をよく読むのです」と言っていました。
 どちらの言語で読むかということよりも、その本の内容がどういうものかということが大事です。
 英語で、「ジャックと豆の木」や「赤ずきんちゃん」の本が読めると言っても、それが何かの実力につながるわけではありません。
 言語ではなく、内容のある難しい本をしっかり読めることが大事なのです。

 AIの発達で、最も影響を受ける教科は、英語です。
 AIは、どんなベテランの英語の教師よりも英語が得意です。
 英語と同じような教科は、国語、理科、社会です。
 こういう教科の先生は、もう人間がやる必要がなくなるのです。

 今のAIで、まだついていけない教科は、数学です。
 AIは、膨大な情報から確率的に答えを出しているだけで、論理的に答えを出しているわけではないからです。

 AIの今後の進化を考えると、外国語については、ポケトークのような機器が発達して、言語の壁はなくなります。

 だから、今の英語の勉強法と同じかたちで、中国語やドイツ語やフランス語を学ぶのは、時間の無駄でしかありません。

 やがて、このことが理解されるようになると、英語の入試自体がなくなり、英語の代わりに、「多様な文化の理解」のような教科になります。
 これは、語学の勉強というよりも、社会科の勉強です。

 教育に携わる人は、こういう長期的な見通しを持っておくことが必要です。

 では、英語の先生を今やっている人は、何をしたらいいかというと、これまでの語学教育の経験を生かして、日本語教育をやっていくのです。

 英語は、伝達の言語です。
 だから、世界中に広がりました。
 しかし、AIの発達によって伝達のツールは、言語の壁を超えるようになりました。

 一方、日本語は、単なる伝達の言語ではありません。
 日本語は、教育の言語です。
 だから、言語の教育を行うとしたら、外国の子供たちに日本語の教育をしていくといいのです。

 インターネットの時代には、世界中の子供たちに日本語の教育を行えるようになります。
 幼児期からの日本語教育が、これからの世界の教育のトレンドになると思います。
 その教育ができるのは、日本語を母語としてきた日本人です。

 明治時代になって、それまでの江戸時代に必要だった馬術や剣術の練習が必要なくなったように、AI時代は、今後、学習の大きな転換点になります。

 漢字の書き取りや、ややこしい計算練習や、理科や社会のどうでもいい知識は、もはや、人間がすることではなくなります。

 単子葉植物と双子葉植物の維管束の形状の違いなどは、ネットで調べればすぐにわかることです。
 テストで、記憶力を評価するような知識ではありません。

 むしろ、そういう単子葉と双子葉の違いがなぜ生じたのか、もし自分が植物だったらどうしたいと思ったかという創造的な学習の方が大事です。
 しかし、創造の問題は、定期テストには出てきません。

 では、何がこれからの勉強の中心になるかというと、それは哲学と数学と芸術です。

 哲学とは、言語を使った学問の総称ですから、政治学、経済学、心理学、倫理学など、言葉を使ったあらゆる分野を含みます。

 数学は、物理学や化学や工学も含みます。

 芸術は、文学や音楽や舞踊や絵画や彫刻のほかに、新しいジャンルの芸術がこれから生まれると思います。
 スポーツは、競争という面をなくし、芸術と同じような共感と交流のスポーツになると思います。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
英語教育(10) 未来の教育(31) 

コメント欄

コメントフォーム
英語教育のし過ぎにならないように。日本人は、母語である日本語が学力の土台。日本語力の土台の上に、外国語を学ぶという姿勢が大事。 森川林 20240516 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
きくけこ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「きくけこ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
英語教育(10) 未来の教育(31) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 標準新 森川林
 これは、確かに難しいけど、何度も解いていると、だんだん感覚 12/2
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習