ログイン ログアウト 登録
 コンクールに入選する作文、読書感想文の書き方 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 512番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
コンクールに入選する作文、読書感想文の書き方 as/512.html
森川林 2009/06/05 11:03 


 なぜコンクールの入選を目指すかというと、第一に、入選によって作文に自信がつくからです。
 特に小学校の3、4年生のころはコンクールに入選したり褒められたりすると、それが一生のいい思い出につながります。

 これに対して、小学校2年生以下では、コンクールなどに入選するということの価値がまだよくわかりません。また、小学校5年生以上では、恥ずかしさの方が先に立ち無邪気に喜べないようになってきます。しかしもちろん大きな賞であれば、恥ずかしさよりも喜びの方が大きくなります。

 入選を目指す意味の第二は、力のある子は腕試しをする場を欲しているからです。作文や感想文を書く機会は、子供たちの日常ではあまり多くありません。文章を書くことが好きな子は、自分の書いた文章を発表する場を求めています。大人であれば、発表の場としてブログのようなものがありますが、子供にとってはいろいろなコンクールに応募することが発表の場になります。


 作文でも感想文でも、大事なのものは、その文章の材料となる部分です。言葉の森では、この材料のことを題材や実例という言葉で呼んでいます。テーマに合ったぴったりの材料があれば、作文や感想文の八割はうまくいったと思っていいでしょう。では、その実例にどのようなものがよいかというと、それは、個性のある実例、挑戦の感じられる実例、感動のある実例、共感のある実例、などです。(これは、また別の機会に述べます)

 ぴったりの実例があれば、次は、構成です。全体の流れを明確に指示しておくと、子供たちは楽に作文を書き出します。物事を構成的に考える力は、小学校5年生以降に徐々に育っていくものですから。小学校4年生のころまでは、親や先生がある程度の方向づけをしてあげる必要があります。方向づけをする指導の仕方で、どんな苦手な子でも言葉の森に来ると作文を書くことができるのです。

 題材と構成のあとは、表現と主題です。しかし、入選する作文や感想文で、表現力はあまり重要ではありません。大事なことは、読みやすく書かれているか、無駄な重複がないかという程度です。そして更にその上に、切れ味のいい表現が一言入っていれば、作文の全体の印象は大きく向上します。

 切れ味のいい表現とは、個性的なたとえや自分で作った名言のことです。名言とは、「○○はAでなくBである」というような形で書ける発見や創造のある見方や考え方です。この切れ味のいい表現は、作文感想文の全体の主題につながります。

 このあたりの説明は、やや複雑に感じられるかもしれませんが、それは、この切れ味のいい表現というものが文章のセンスのようなものと幾分関係しているからです。


 さて、コンクールの入選を目指すことは意味あることですが、入選するよりも大事なことは決して子供に無理をさせないということです。例えば、親や先生が子供にいい表現を教えてそれを書かせるような形で作文を書いた場合、その作文が評価されても子供は喜びません。

 したがって、言葉の森では、コンクールに出す作文の添削を頼まれることがありますが、表現には一切手を加えません。

 では、大人の役割は何かというと、それは四つあります。以下は、主に小学生ぐらいの子に対するアドバイスですが、基本的な考え方は、中学生や高校生にもあてはまります。

 第一は、こういう流れで書いたらいいという構成の方向をアドバイスしてあげることです。全体の構成は、子供の力ではなかなかできないからです。構成がはっきりしていれば、子供は自分の力でその中身を書いていくことができます。

 第二は、実例に対して協力してあげるということです。テーマに合わせた経験ができるように協力する、又は、その子の面白い経験を思い出させるように協力するということです。

 第三は、不要なところを削るということです。作文の中には、書かなくてもいい無駄なところや、同じようなことが書かれている重複したところが必ずあります。それは、大人でも同じですが、本人にはなかなかわかりません。第三者が作文を見て、要らないと思われるところを削ってあげると密度の濃い文章になります。これは、大人の表現を押しつけることではないので、子供を傷つけることにはなりません。

 第四に、いちばん大事なことは、もう少しいい表現をしてほしいというようなところに対するアドバイスです。これは、大人が、こういう書き方をしたらいいと答えを教えるのでありません。

 言葉の森では、よく感想文コンクールに提出する作品のアドバイスを頼まれることがありますが、そのとき、もう一言いい表現がほしいという部分には、「ここはもう一工夫」と書いておきます。すると、必ず本人が自分の力でもっといい書き方をしていきます。もし本人がそれ以上いい書き方にできないとすれば、それはそれでいいという立場です。入選することも大事ですが、それ以上に大事なことは、子供が自分の力で入選することだからです。



 以上、入選するような作文や感想文の書き方をまとめて言うと、書く前に全体の構成を指示してあげる、つまらない実例になっているところはもっと面白い実例を書くように注文する、無駄なところはカットしてあげる、切れ味のよさが求められところについては「もう一工夫」と言ってあげる、ということになります。


 夏休みにはいろいろな作文コンクールがあります。言葉の森のホームページにある作文・感想文の書き方を参考に、皆さんもぜひコンクールに挑戦してください。




同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 読書感想文(19) 

コメント欄

あああ 2012年8月16日 11時10分  
ぼくもやってみたいです

森川林 2012年8月17日 4時32分  
やってみてねー。ヽ(`▽´)/

陽炎 2015年8月19日 13時2分  
大きな賞を取りたいですね!

ゆん 2017年8月10日 15時37分  
内閣総理大臣賞取った事ありますっ!

森川林 2017年8月10日 17時31分  
ゆんさん、すごいね!

コメントフォーム
コンクールに入選する作文、読書感想文の書き方 森川林 20090605 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ちつてと (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ちつてと」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文の書き方(108) 読書感想文(19) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習