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解く、覚える、選ぶ勉強から、読む、考える、書く勉強へ as/847.html
森川林 2010/03/31 10:14 




 来春から、新しい学習指導要領のもとに教科書が厚くなります。特に、理科と数学の分野では、ゆとり教育の時代に比べて6割以上もページ数が増えるそうです。

 これまでの教科書は、内容が薄すぎ、易しい問題しか載っていないために、教科書だけは受験のための勉強には間に合わないという面を持っていました。その点で、教科書が厚くなるということは歓迎できます。

 この教科書重視の教育に伴って、勉強のスタイルも、解く勉強、覚える勉強から、読む勉強、考える勉強に変わっていく必要があります。


解く読む
教わる学ぶ
試験発表
選ぶ書く
覚える考える


 昔の勉強は、読む勉強が中心でした。テキストとなる書物をしっかり読み、それを消化することが勉強の内容で、その勉強の評価は、口頭試問のような形で読んだ内容がどれだけ血肉になっているかで測られました。現代のように、問題が多数用意され、その問題の正解数によって評価されるような形の勉強は、多人数を一斉に試験で評価するための便宜的な方法でした。しかし、その便宜的な方法がいつの間にかひとり歩きをするようになり、勉強というと、問題となる空欄に答えをあてはめるようなものになっていったのです。

 勉強が、答えを選ぶようなものになると、次第に問題もそれに対応して、答えを選びにくいものに進化していきます。その問題と答えのいたちごっこの結果、勉強というと、答えをすぐに選べるように知識を覚えておくというものになっていきました。

 しかし、勉強とは本来考える勉強であるべきです。知識を覚えることはその考えるための手段にほかなりませんが、今までの勉強は、覚えることが目的のようになってしまい、肝心の考えることがなおざりにされてきたという面がありました。

 読む勉強で大事なことは、読む機会を増やすことです。今の子供たちの多くは、解く機会が多すぎるために、読むための時間がかえって圧迫されるという本末転倒の状態にあります。書く勉強についても、同様で、これからはもっと書く機会を増やしていく必要があります。

 ただし、理科と数学のように、問題を解くことが考える勉強になっている教科もあります。しかし、この場合も、解くという作業をするのではなく、解き方を読むという考えで取り組んでいく必要があります。


 読む勉強、書く勉強は、家庭で行うことができる勉強です。具体的には、夜の10分間読書、朝の10分間暗唱、そして、できれば毎週1回の作文の勉強ができれば理想的です。なんだか言葉の森の勉強のようですが(笑)。家庭でこれだけのことをやって、学校の授業をちゃんと受けていれば、ほかに特別の勉強をする必要はありません。


 さて、先日、木村秋則さんのリンゴの話を読みました。無農薬無肥料でリンゴを育てているとき、次々と弱っていくリンゴの木に向かって、木村さんは毎日、「がんばってくれよ」と話しかけていたそうです。しかし、隣りの畑と接しているリンゴの木たちには、近所の人に変に思われたくないために何も言いませんでした。すると、話しかけたリンゴの木たちは、生き残りましたが、話しかけなかったリンゴの木たちは全滅してしまったそうです。


 子供の勉強も似ています。子供に勉強の仕方を1回教えると、あとは自動操縦でずっとうまくやっていくというような子はひとりもいません。毎日の声かけ、励まし、明るい言葉で、何とか勉強を続けていくというのがすべての子供の実態です。

 家庭での勉強は、特に、この毎日の声かけが大事です。また、本を読んだり暗唱をしたりしたつど、毎回のようにそれを認めてあげる温かい言葉が必要なのです。



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