ログイン ログアウト 登録
 現代を明治維新とのアナロジーで考える Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 985番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
現代を明治維新とのアナロジーで考える as/985.html
森川林 2010/08/06 22:06 



 「消費税を上げても、それを新たな分野の投資に使えば経済は活性化する」という新聞のコラムを見たのは、鳩山政権がまだ続いているときでした。

 その後、新たに就任した菅首相が消費税10%をマニフェストに追加して、民主党は参院選で敗北しました。

 民主党の議席が大幅に減ったのは、消費税の増税が財政再建と経済活性化につながるという虫のいい理論に納得する人が少なかったからです。多くの人の実感は、「最初に子ども手当や高校無償化などの大盤振る舞いをして、そのつけを消費税に回すとは何だ」というものだったでしょう。

 しかし、日本の財政が危機的な状況にあることは、多くの人が知っています。財政の累積赤字を改善するには、消費税を25%以上にしなければならないという試算もあります。しかし、それで財政赤字が解消するとしても、豊かな社会が来るという保証はありません。しかも、この恒常化する財政赤字は、日本だけの問題ではなく、世界中の先進国に共通する問題です。


 日本をはじめ先進国が共通して抱えている出口のない問題という状況は、明治維新前夜の日本の政治状況を類推させます。

 当時の日本は、黒船によって脅かされる以前に、国内の経済が行き詰っていました。多くの藩は、慢性化する財政赤字を抱えていました。武士は支配階級でしたが、その多くは、武士としての収入では食べていけませんでした。それは、非生産的な階級である武士が、生産を担う農民に比べて多すぎたからで、その仕組みを社会が自助努力で変える力を失っていたからです。

 この矛盾を変えるきっかけは黒船の登場でした。自助努力で変えられない政治を、国難という外圧が変えたのです。

 変化のイデオロギーは、復古運動として始まりました。尊皇攘夷から尊王倒幕へという流れの中で、古い体制が抱えていた矛盾が次々と明らかになり、その古い体制に依存していた既得権の多くが覆されました。


 現代が、この明治維新の前夜と同じだというとき、そこで否定されようとしている旧体制とは何で、復古運動を通して新しく生まれようとしている新体制は何でしょうか。私はそれを、次のように考えています。

 旧体制とは、専門化による分業で生まれた膨大な経済力と、それに伴うマネーを基準とした大きな無駄の体制です。復古的な新体制とは、自主的な協業で生まれる等身大の経済力と、エコロジーを基準とした自然と共存する体制です。

 例えば、これまでの政治は、プロの政治家が多数集まって烏合の衆となり、密室の駆け引きで政策が決まるという面がありました。これからの政治は、基本は市民による自治で、専門的な能力を必要とする外交や国政全体に関することは、少数のリーダーがオープンな論議の中で遂行していくものになるでしょう。

 これまでのメディアは、プロのマスコミによって流される、時に偏向した情報を、受け手はただ受身で受け入れるしかありませんでした。これからのメディアは、よりアマチュア的なジャーナリストによってさまざまに発信される情報を、受けてが比較し主体的に取捨選択して受け入れるものになるでしょう。

 これまでの農業は、その土地の生きた自然を忘れ、グローバルな農薬会社、化学肥料会社、F1雑種を作る種苗会社によってコントロールされるものになっていました。。これからの農業は、地産地消を中心とし、消費者自らが生産に参加するような自給的なものになっていくでしょう。

 (以下、医療、経済、教育とつづく予定)



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
政治経済社会(63) 

コメント欄

コメントフォーム
現代を明治維新とのアナロジーで考える 森川林 20100806 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
すせそた (スパム投稿を防ぐために五十音表の「すせそた」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
政治経済社会(63) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習