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創造性を育てる作文指導と、本質的な学力を育てる寺子屋オンエア指導 as/2288.html
森川林 2015/01/12 16:57 


 言葉の森では、これまで学校の勉強とはあまり関係のない作文指導に30年間取り組んできました。
 それは、学校の勉強は、受験勉強も含めて、既に答えのある勉強だから独学でも十分にできると考えていたからです。
 そういうスタンスでありながら、その言葉の森の考え方に賛同して作文の勉強を続けてくれた人がたくさんいました。(うちの子2人も、小1から高3まで続けましたが。)

 ところが、言葉の森の生徒には、全体に優秀な子が多いのですが、中に少数ですが学力的に問題のある子もいるということに前から気がついていました。
 また、最近、小学校低中学年で、かえって頭が悪くなるような勉強の仕方をしている生徒が増えていることに気がつきはじめました。例えば、無意味な難問をやらせたり、勉強優先で読書が後回しだったり、低学年から英語の勉強をやらせていたり、という勉強の仕方です。
 更に、中学生で、塾には通っているが、勉強の仕方がよくわかっていない生徒が結構いるということにも気がつくようになりました。

 学校の教育力が低下していることは前から言われていましたが、最近では、学力の格差が大きくなり、できない子は更にできなくなるという傾向が表れています。
 これまでの日本の教育の特徴は、格差の少ないことでしたが、2003年ごろから、PISAの成績で上位と下位の差が大きくなり、下位の子の成績は途上国並みに低いという状態が生まれるようになりました。

 そこで、言葉の森が、創造性を育てる作文の指導をこれからも進めていくには、その創造性の土台となる本質的な学力を、日本中の子供たちを対象に育てていく必要があると考えたのです。

 幸い、日本には、寺子屋教育という江戸時代の優れた自学自習法がありました。
 また、勉強に必要な教材は、日本では既に多種多様に出ているので、それらの中から良いものを自由に選べるようになっていました。
 更に、近年のインターネット・テクノロジーによって、オンラインで自宅にいながらにして学べる仕組みが作れるようになっていました。

 そこで、寺子屋オンエアで、子供たちの本質的な学力を育てながら、そのオンエアシステムを将来の作文指導にも生かしていくという方向を考えました。
 作文指導に生かすというのは、電話指導の代わりにオンエア指導をするとか、個別指導ではなくグループで交流できる指導をするとか、発表会をオンエアで行うとか、父母懇談会を行うとかいうようなことですが、可能性はほかにもいろいろあると思います。
 本質的な学力について言えば、小中学生の勉強は、お金をかけたり人手をかけたりしなくても、勉強の仕方次第で短期間で誰でもできるようになるのです。

 ところで、このICT(Information and Comunicaion Technology)教育の今の動向を見ると、ビジュアルでわかりやすい教材、ゲーム的な感覚を取り入れた楽しい学習、人気講師の優れた授業、限りなく無料に近いシステムで、資本力のあるところがその資本をバックに無人化したシステムを作る方向に進んでいます。そして、最終的には、世界で数社の寡占的な教育企業が生き残るような形になると思われます。今はまだそのずっと手前の段階なので、ICT教育の可能性だけが論じられている状態ですが。

 ICT教育の普及の結果、教育の格差はなくなるかというと、確かに、格差は多少是正されると思いますが、企業化された教育の第一の目標は、優秀な子をよい大学やよい企業に紹介することになりますから、すべての生徒が本質的な教育を受けるという方向には進みにくいのです。
 この一斉指導と、競争と、賞罰による意欲付けによって、能率よく指導し、優秀な子を優秀に育てることを第一の目標とするという教育観は、言葉の広い意味で西洋的な教育観です。日本の教育も今は、すっかりこの西洋的な教育観のもとで行われています。
 そして、ICT教育における一斉指導は、個別化された一斉指導なので、同じ教材システムでできる子とできない子がいた場合、できない子は更にスモールステップの教材に取り組むような形になります。その結果、できないのは本人の意欲や努力の問題となり、勉強の仕方の問題として捉えられることはなくなるのです。

 言葉の森がこれから行おうとしている寺子屋オンエアと、そのオンエアシステムを利用した作文教育は、世間で今言われているICT教育とは正反対のものとなると思います。
 それは、教材という物を中心とした教育ではなく、勉強の仕方という事を中心とした教育だからです。
 また、人手はかけないものの、機械に依拠した教育ではなく、先生と生徒と親の触れ合いに基づいた教育になるからです。

 教育全般のオンエアによる指導と、作文指導自体のオンエア化が、これからの言葉の森の目指す方向です。

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言葉の森の作文指導の特徴――事前指導で苦手な子も楽に書け、得意な子は更に得意に as/2287.html
森川林 2015/01/08 20:42 


 言葉の森の作文指導の特徴は、高校生、大学生、社会人になっても通用する論説文の力をつけることを目標にしています。
 しかし、小学校低中学年では、そういう文章はまだ書けないので、その前段階として、身近な生活作文を楽しく書く練習をしています。

 小中学生の段階で上手な作文を書くことが目的ではありませんが、小学生のころは、楽しく書いていれば自然に上手な作品が生まれます。
 そこで、自分なりによく書けたと思った作文は清書をして、新聞社やコンクールに投稿するようにすすめています。

 小学校3、4年生は、子供たちが最も小学生らしいのびのびとした作文を書く時期です。この時期に、誰でも必ず年に何回かは傑作を書きます。
 昨年(2014年)は、さまざまなコンクールに76名の人が入選しました。

 入選は、子供たちに自信をつけます。どの子も、自分が入選したときの作文はよく覚えています。
 よく書けたと思う作文があったら、家庭でお母さんができるだけコンクールなどに応募してくださるとよいと思います。

 言葉の森の作文指導の特徴は、構成と表現をあらかじめて決めて書かせることです。
 この書き方は、言葉の森が独自に開発したものですから、このように事前に書くことを指定した書き方を指導しているところはほかにないと思います。

 この書き方をすると、不思議なことに、どんなに作文が苦手な子でも、すぐに書き出せるようになります。体験学習などで、初めて長く楽に書けたので、本人もお母さんも驚くということがよくあります。
 また、指導の目標が決まっているので、先生は子供の作文のよいところを中心に褒めることができます。無理に褒めようと思わなくても、自然に褒めることができるようになるのです。

 事前の指導がない作文を書かせると、ほとんどの子は、何をどう書いていいかわからないので途方にくれます。
 また、先生は、事前指導がないと、子供が書いた作文をどう褒めていいかわからないので、つい直すところや注意するところが中心になります。
 書き方がわからないまま、無理やり書かされて、やっと書いたと思ったら、次々に注意されるというのが、これまでの作文指導でした。だから、作文が苦手な子が増えていたのです。

 言葉の森の作文指導では、誰でも自分のペースでしっかり書けます。だから、苦手な子もすぐに書きだすことができ、一方上手な子は更に上手な作文を書くことができるようになります。
 苦手な子も、得意な子も、同じように勉強できるのが、言葉の森の構成と項目の事前指導を中心とした作文です。

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