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日本発の未来の教育――オンエア特別講座、寺子屋オンエア、オンライン作文、森林プロジェクト(6) as/2545.html
森川林 2016/03/11 19:55 


 作文は、書いたものが作品としてのひとつのまとまりを持っています。個性を伸ばすことや学力をつけることは、その過程が重要なので、結果は必ずしも作品という形にはなりません。それに対して、作文は、書く過程も考えを深める過程としてもちろん重要ですが、それ以上にその書いた結果が作品として形のあるものが残るということも重要なのです。

 結果が作品として残るということは、その結果を互いに発表し合い共有し合うことができるということです。この発表を、文章の上だけでなくビジュアルな形で発表するようにしたものが、プレゼン作文発表会です。

 このプレゼン作文発表会も、オンエア特別講座の読書感想クラブと同じように、発表する生徒がその作文に関連する絵や写真や音楽や動画などを用意してyoutubeにアップロードしておきます。それを少人数のグループで互いに発表し合い、質問や感想を交わし合います。

 これまで学校などで行われてきた作文の発表の機会というものは、ほとんどの場合、最も優れたものが選ばれ発表されるだけで、その他大勢のものは、ほかの人に見てもらう機会がありませんでした。
 しかし、すべての人が主人公として活躍するこれからの社会では、全員が互いの作文を見ることができるようになる必要があります。そのためには、少人数のグループでの作文の共有が行われる必要があります。それが、少人数のネットを使ったプレゼン作文発表会なのです。

 プレゼン作文発表会は、小中学生の段階では、読む力・書く力・経験・知識などの集大成というそれ自体が勉強のひとつという位置づけになります。
 しかし、高校生、大学生になると、勉強の集大成以上の意味を持つようになります。それは、例えば、高校生や大学生が書く作文は、その社会(地域社会から国際社会まで含むさまざまなレベルの社会)に対する提言にもなるからです。

 すると、プレゼン作文発表は、作文のプレゼンテーションであるよりも、提言のプレゼンテーションになります。
 ここで重要になるのは、文章が上手かどうかということではありません。その文章に盛り込まれている内容がどれだけ創造的であるかということです。

 作文が創造性を育てるという目的を持つのは、このような意味においてです。そして、これからの人間社会で、どんな時代でも価値あるものとして残るのは、ゴールドでもマネーでも土地でも資源でも知識でもなく、その人の持つ創造性なのです。
 創造性以外のものは、買うか、借りるか、外注するか、コピーするかができます。しかし、創造性は、それぞれの人が自分のものだけしか持つことができません。
 そして、人間の社会を豊かにしてきたものは、単に汗水たらして働くことではなく、誰かの創造性に他の誰かの創造性が積み重なってできた創造性の連鎖なのです。

 植物は、世界の酸素と炭素化合物を大量に供給しています。しかし、その植物の最初の出発点は、光合成の発明というたったひとつの創造で、あとはその創造を大量にコピーしているだけです。
 しかし、そのコピーの仕方にもいくつもの小さな創造があり、ある植物は砂漠でも生き延びる仕組みを創造し、ある植物は極寒の地でも生き延びる仕組みを創造しました。それらの小さな創造の積み重ねが、現在までの地球の豊かさを作り上げてきました。

 人間の役割も同様です。すべての人が自分の今いる場所で小さな創造を行うことによって、世界の豊かさは加速していきます。その創造のためのひとつのツールが作文で、作文によって創造を共有する場がプレゼン作文発表会なのです。(つづく)

※次は、「オンライン作文について」です。

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日本発の未来の教育――オンエア特別講座、寺子屋オンエア、オンライン作文、森林プロジェクト(5) as/2544.html
森川林 2016/03/10 19:18 


 寺子屋オンエアでは、子供は、家庭で自分の決めた時間に勉強に取りかかります。その際に、その日に何の勉強をどこまでするかという目標を先生に連絡します。
 勉強の開始時刻に寺子屋オンエアの画面に入ると、既に先生がいて、同じ時間帯で勉強しているほかの生徒もいます。生徒の場合は、カメラが机上に向いているので、見ようと思えばほかの生徒がどんな勉強をしているのか見ることができます。しかし、実際には、そういう他人のことは誰も特に関心は持たず、自分の決めた勉強に取り組みます。
 寺子屋オンエアではない場合の家庭学習の弱点は、孤独な勉強が長続きしにくいことにあります。しかし、寺子屋オンエアの場合は、先生もいるし、一緒の時間に勉強している生徒もいます。しかも、自分が勉強する内容をあらかじめ先生に連絡しているので、勉強が終われば先生にその日の勉強の内容を説明することになります。だから、ひとりでも集中して勉強することができるのです。

 しかし、もちろん中には、わからないところを適当に飛ばして勉強してしまう子もいます。ここで大事になるが親の役割です。
 寺子屋オンエアでは、先生がその子の勉強の概要を把握しチェックするだけでは不十分なところもあります。そこで、親がその時間にその場にいない場合は、帰宅後でいいので、子供に、その日の勉強でわかったこととわからなかったことを説明してもらうのです。
 子供が熱心に説明すれば、それはよく理解できていたということです。その反対に、子供がよくわからないと言うところがあれば、親が一緒に考えてあげます。
 小中学生の勉強は、親の助けで解決するものがほとんどです。解説の詳しい参考書的な問題集であれば、その解説に沿って説明すればいいのですからそれほど苦労することはありません。しかし、中には親では説明しにくいものもあるかもしれません。その場合は、親が先生に質問して確認しておけばいいのです。

 小中学生の勉強で大事なことは、能率よく教えてもらうことではありません。もともと義務教育のレベルの勉強は、誰がやってもできるようになるものです。
 大事なことは、自分で勉強する習慣をつけること、その勉強の中身を親が把握していること、必要に応じて相談できる先生がいることです。
 この中で特に大事なのが、自分で勉強する姿勢を子供のうちから作っておくことで、この姿勢は、塾や予備校に通うとか、ノルマを課されるとか、賞や罰や競争で意欲づけされるとかいう形ではかえって育ちません。
 本当の勉強は、高校生や大学生になってから始まります。そのときに自分の意志で進んで勉強するようになるために、小中学生時代のうちに、自分で勉強する習慣をつけておく必要があるのです。

 さて、オンエア特別講座の読書感想クラブで個性を伸ばし、寺子屋オンエアで全教科のバランスのよい学力をつけたあとに、もうひとつ大切な勉強があります。それは作文です。

 勉強に限らずどの分野でも、最後に必要になるのは読む力と書く力です。
 外国語の学習でも、ヒアリングとスピーキングは、身近なコミュニケーションのためには必要ですが、それだけではその外国語で学問や仕事をする段階にまで行きません。聞くこと話すことに比べて、読むこと書くことは質の違う難しさがあるのです。

 これは、日本人における日本語の場合も同様です。上手に喋る人はたくさんいますが、上手に文章を書く人はずっと少なくなります。
 文章を書くということは、勉強や仕事の集大成という面があります。それ以外にも、考えを深めるために文章を書くという面もありますが、他人に見せてわかるように書くということは、作文の勉強の第一の目標で、それはそれまでの勉強全体のまとめという意味を持っているのです。(つづく)

※次は、「作文を書くこと――プレゼン作文発表とオンライン作文指導について」です。

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