答えのない勉強――創造発表クラスの授業の様子 2024/5/22
キンシバイ
創造発表クラスは、答えのない勉強です。
作文クラスも、プログラミングクラスもそうです。
答えのある勉強は、100点を取った人は、みんな同じ100点です。
個性も何もありません。
しかし、勉強の中には、答えのない勉強もあります。
それが、創造発表クラス、作文クラス、プログラミングクラスなどの勉強と、読書紹介です。
これからの世の中で必要になるのは、この答えのない勉強に楽しく取り組める力です。
身近な例で言えば、大学入試の総合選抜の基準は、個性と思考力と表現力です。
与えられた知識を覚える力より、自分らしい問題を創造する力た求められるようになっているのです。
言葉の森は、もともと「創造性を育てる作文」という目標でスタートしました。
しかし、作文以外にも、創造性を育てる勉強はあります。
そのひとつが創造発表で、もうひとつがプログラミングです。
答えのある勉強は、AIテクノロジーの時代には、技術を補助的に使えば誰でもできるようになります。
例えば、計算練習のかわりに電卓を使ったり、漢字の書き取りを思い出すのに検索エンジンを使ったり、英文の翻訳をするのに翻訳サイトを使ったりすることです。
人間がクイズ番組で優勝しても、もう誰もあまり感心しません。
人間がやることは、機械のやることとは違います。
その違いが、個性と思考力と表現力です。
水曜日19:00の創造発表クラスには、中学生が多く参加しています。
創造発表クラスの授業は、発表に頭を使うばかりでなく、質問や感想を言うこともかなり頭を使います。
この自分なりに考えて表現する力がこれから重要になってくるのです。
ただし、学校のカリキュラムの決められた勉強も、ひととおりはやっておく必要があります。
それをするのが、基礎学力クラス、総合学力クラス、全科学力クラスなどです。
5月の創造発表クラスの発表を2つ紹介します。
カメラをオフにして発表してもらっているので、発表者の顔は出てきません。
学校の答えのある勉強を物足りなく思っている人は、この創造発表クラスの勉強に参加してください。
▽マレーシア航空370便
▽スピンランチ
モジズリ(ネジバナ)
陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに
乱れそめにし われならなくに
国語と算数数学は、頭の使い方が少し違います。
国語は、問題文を読んで実感として感じられることが大事です。
長い物語文でも、読んでいるうちにその文章に感情移入ができるので、その後の設問にもすぐに答えることができます。
設問を先に読んでから、問題文を読むというのは、感情移入が苦手な人の場合です。
読書好きな子は、普通に問題文を読んで、それから選択問題を選びます。
しかし、算数数学はそうではありません。
例えば、
・分数の割り算はひっくり返して掛けるとか、
・比の問題で内項の積と外項の積は等しいとか、
・未知数の数だけ複数の等式があればその未知数は解けるとか、
・a2-b2=(a+b)(a-b)
とかいう因数分解の式などは、実感でとらえることはできません。
それらをもし実感で捉えることができるとしたら、その人は数学の天才です。
そういう人も、もちろんいます。
確か、昔、インドにいたと思います。
二次方程式の解の公式は便利な式です。
x=(-b±√b2-4ac)/2a
しかし、私は、昔の人がよくそういうことを考えついたと思います。
▽ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%AC%A1%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F%E3%81%AE%E8%A7%A3%E3%81%AE%E5%85%AC%E5%BC%8F
ところで、ほとんどの数学の得意な人は、算数数学の問題を、実感の学問ではなく操作の学問として解いています。
国語は、実感で考えていいのですが、算数数学は操作として解くと割り切っていくのです。
その算数数学のいちばんいい勉強法は、1冊の問題集を5回繰り返して、できない問題が1問もなくなるまで解くことに慣れるということです。
これは、数学で赤点を取った本多静六が一念発起して編み出した勉強法で、清六はその後すぐに、先生から数学の天才と呼ばれるよになりました。
一方、国語の勉強法は、問題の解き方を理詰めに解く方法を身につけることですが、それ以前に、ほとんどの人は、難しい文章を読むことに慣れていません。
だから、まず読書、特に説明文読書をすることが大事です。
算数数学の勉強法は、1冊の問題集を決めて、それが100%解けるようにすることです。
しかし、多くの人は、ある問題集が8割から9割できたらそれでやめて、次の問題集に移るような勉強をしています。
学校や学習塾などで渡される大量のプリントも、そういう8割から9割の勉強法を助長しています。
算数数学は、解けなかった問題が解けるようになることが大事で、解ける問題をいくら数多く解いても力はつきません。
このように考えると、勉強の方法は簡単です。
しかし、実際に、子供たちにとって勉強が簡単でなくなっているのは、学校や塾が、子供たちに差をつけるために、解きにくい問題を出しているからです。
その根源には、受験勉強が、受験生に差をつけるために行われているという事情があります。
実生活では、普通の問題が普通に解けることが大事で、間違えやすい問題を間違えずに解けることはほとんど必要ではありません。
やがて、将来はオンライン少人数教育が広がり、受験勉強自体がなくなります。
合格者の人数を絞って選別しなければならないのは、リアルな教室の机の数や先生の数に物理的な制約があるからです。
というのは、ちょっと先の話ですが(笑)、子供たちは、まともな国語の勉強と、まともな算数数学の勉強をしていってほしいと思います。