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作文力は、自分では評価できない。他の人に見てもらうことが大事。 as/5123.html
森川林 2024/07/08 07:55 




 国語、算数数学、英語なら、答えがあるので、自分で評価することができます。
 しかし、作文は、自分で自分の文章を評価することができません。

 これまで、体験学習に来た子供たちに、作文が得意かどうかを聞いてみると、共通する傾向がありました。

 「作文が嫌い」というのは普通に書ける子です。
 「作文は普通」というのは、よく書ける子です。
 「作文は好き」というのは、あまり書けない子でした。

 作文力は、自己評価はできないのです。

 答えのある勉強であれば、解答を見て自己評価ができます。
 答えのない勉強は、他人に見てもらわなければ自分の実力がわかりません。

 東洋経済オンラインに、わかりやすい記事がありました。

====
高3までに得たい「文章力」磨くための重要なコツ
「総合型選抜」「公募推薦」で難関大学目指すなら
https://toyokeizai.net/articles/-/662595

「なーんだ、そんなことは学校で習ったし、うちの子も学校で習っているはずだから大丈夫。日本語は書けるわけだし、問題ないでしょ」

とおっしゃる親御さんもいます。それでも、まずは一度、だまされたと思ってお子さんに文章を書かせて、それを見てみてください。十中八九、その期待は裏切られることになると思います。

この中でも特に注意が必要なのは、「『です・ます調』と『だ・である調』の混在と、「話し言葉や若者言葉」です。
====


 「ですます体」と「である体」の混在の作文を書く子は時々います。

 小学5年生以上は、「である体」で書くのが基本です。

 小4までの課題は、「私の好きな食べ物」のような身近な課題が多いので、「ですます体」でいいのです。
 小5からは、「読書の大切さ」のような説明と意見が中心になる課題が多いので、自然に「である体」で書くようになります。

 「ですます体」は、話しかける文章で、「である体」は、内省する文章です。
 「ですます体」は、手紙や志望理由書などのように、相手に語りかける文章のときに使います。
 論説文を「ですます体」で書く人はあまりいません。


 「ですます体」と「である体」を意識的に混在させて書く人もいます。
 野坂昭如さんは、そういう文章を書いていたと思います。


 しかし、作文試験で、「ですます体」と「である体」を混ぜて書くと、それだけでボツになります。
 それは、読み返すときに、文末の違いがあったらおかしいと思うのが普通だからです。
 つまり、作文力以前に、読む力がないとみなされるからです。


 作文力に、正解はありません。
 だから、他人に見てもらうことが必要です。

 昔、慶應義塾大学に、志望理由書を書いて1回落ちた子が、2回目の挑戦のために志望理由書の添削を頼んできたことがありました。
 一読して、自分のことしか書いていないことがわかりました。

 相手にアピールするための文章ではなく、自分のために書いた文章になっているのです。
 それで、内容を添削して直してあげたら、今度は無事に合格しました。

 文章というのは、他人に見てもらわないとわからないのです。

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森川林 2024/07/07 08:17 

ヒルガオ



 作文には、算数力が必要とする記事がありました。
 これは、そのとおりです。
====
作文は「理系だと苦手」「文系が得意」という大誤解
算数が得意な子は大概「作文もうまい」納得理由
https://toyokeizai.net/articles/-/766692

2つの条件p, qについて、命題「pならばq」が成り立つ時、pはqの十分条件、qはpの必要条件である。
具体例として、「冷奴」で考えてみましょう。目の前になにかの料理があります。もし、この料理が冷奴であれば、その料理は豆腐料理ですよね。
つまり、「冷奴?ならば?豆腐料理」が成り立ちます。
……
逆に、目の前の料理が冷奴かどうかを判別したいとします。このとき、その料理が冷奴なのか麻婆豆腐なのか味噌汁なのかはわかりませんが、少なくとも豆腐料理であることが必要です。このことから、「豆腐料理」であることは、「冷奴」であることの必要条件だとわかります。
====


 必要条件とか十分条件とかいう漢語で説明するからわかりにくいだけです(笑)
 A→B。「十分条件=それは必ずそう言える」「必要条件=それは必ずしもそうは言えない」と和語で考えればいいのです。


 しかし、こういう論理的な考え方ができない生徒が多いのです。

 小学生のときまで、事実中心の楽しい作文を書いていた子が、中学生の意見文の課題になると、急に書けなくなることがあります。

 「複数の理由を書く」という項目なのに、理由ではなく単なる実例を書いてしまう子が意外と多いのです。
 それは、実例を理由というレベルまでに高めるための考える力がないからです。

 例えば、「テストはよいか悪いか」というテーマの作文のときに、「私は・テストが嫌いです。この前……」と、実例を書いてしまうというようなことです。
 同じようなテーマで、「宿題はよいか悪いか」「人助けはよいか悪いか」「ポイ捨てはよいか悪いか」「クジラを食べるのはよいか悪いか」などがあります。
 そのときに、「私は、クジラを食べたことがありません」というような実例を書いてしまう子も多いのです。


 どんな意見には、正解はありません。
 どういう意見も、成り立ちます。

 しかし、その意見の裏付けになる理由が必要で、また、その理由の裏付けとなる実例が必要です。

 「意見←理由←実例」という関係です。

 理由を述べる際に、「好き」とか「嫌い」とかいう言葉は、論理になりません。


 ところで、話は変わりますが、女の子が愚痴をこぼしたとき、それ聞いている女の子は、その話に共感して対応します。
 だから、話がはずみます。

 ところが、女の子の愚痴を聞いた男の子は、原因や対策を考えるのです。
 それで、話がつまらなくなります(笑)。

 一般に、女の子がお喋りなのは、実例中心に話をしているからです。
 男の子も、実例中心の話をしますが、本当は実例の話には飽き飽きしていることが多いのです。


 ところで、また、話は変わりますが、ディベートという授業があります。
 私は、日本人には、ディベートは必要ないと思います。

 他人を論理で批判しても、なにも得るところはありません。
 それよりも、他人の意見に共感して、その共感と自分の考えをすり合わせるのが日本文化です。

 論理は必要です。
 しかし、その根底に、異なる意見に対する共感が必要なのです。

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