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考える力を育てるために読書以外に必要なもの as/903.html
森川林 2010/05/16 11:43 


 これまで、読書の大切さを書いてきました。ひとことで言えば、作業的な勉強、つまりできる問題をただ解くような勉強をするよりも、読書をする方が頭がよくなるということを説明してきました。

 しかし、ここで考える必要があるのは、読書だけでは考える力を育てるのには不十分だということです。

 例えば、よく本を読んでいる子の中でも、なるほどよく考えていると思わせる子がいる一方で、ただ読書の量が多いだけで、作文を読んでもあまり考えているようには見えない子がいるという問題があります。

 一般に、考える子は、本を読むのに時間がかかることがあります。考えながら読むので、速くは読めない本があるのです。ところが、そういう本でも同じペースで読み終える子がいます。それは、考えずに読んでいるからです。

 考えずに読んでいる子の作文は、下手ではありませんが、あまり面白くはありません。つまり、創造性が感じられないのです。(もちろん、それは固定的なものではありません)

 では、その創造性はどこから来るのでしょうか。その前に、創造性とは何かということについて考える必要があります。

 創造性とは、似ているものの異なる面、異なるものの似ている面を見る力です。両者の間にある隙間を発見することが創造性です。

 読書は、材料を提供しますが、考える力のない子は、AとBの二つの材料の間にギャップを感じません。AはAとしてそのまま受け取り、BはBとしてそのまま受け取り、AとBを並列的に読みます。それは、なぜかというと、ABそれぞれの読み取り方が浅いからです。

 例えると、ゾウという書物を読むのに、鼻と耳と脚を別々に読み取って、ゾウという全体像を読み取っていないということです。つまり、浅い読み方とは、狭い範囲で読み取ったことをただ集めたという読み方で、深い読み方とは広い範囲をひとつの全体として読む読み方です。この広く深く読む力は、別の言葉で言うと、抽象的なレベルにまで深めて読む力ということができます。

 現代の受験の仕組みでは、試験に受かるための頭のよさは、主に記憶力のよさと結びついています。しかし、本当の頭のよさとは、ディベートをする頭のよさです。これは、物事を構造的に抽象化して読む力です。

 では、そういう読む力はどこから来るのでしょうか。それは、1冊の本を何度も繰り返して読み、その本を全体的に把握することによって身につきます。

 何度も繰り返して、その本を全体的に読み取るためには、その本自体に本物の深みがあることも必要ですが、本のレベル以上に大事なことは、繰り返して読むことそのものです。繰り返し同じ本を読むことによって、広く深く本質的に読む力がついてきます。

 この繰り返して読む効果を抽出した勉強法が、言葉の森で現在行っている長文暗唱という練習です。

 人間の思考力は、生まれつきはそれほど変わりません。変わるのは、思考力を育てるコツを知っているかどうかです。そのコツとは、小中学生の時期に繰り返して読む力をつけることです。

 多読で材料を広げ、暗唱で思考力を深めるということが、これからの勉強の重要な柱になってきます。考える力を育てることによって、初めて読書の豊かな材料が生きてくるのです。

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構成図とOリングテスト as/902.html
森川林 2010/05/15 21:35 


 構成図は、作文を書く前に、自分が考えついたことを全部並べてみるという方法です。

 考える分野が未知のものであるほど、途中でいろいろな仮説が出てきます。どのような理由や方法や原因や対策があるかという仮説です。

 ここでいくつかの仮説の候補が出てきたときに、Oリングテストを使えるのではないかというのが、今考えていることです。

 以前、「パワーかフォースか」(デヴィッド・R・ホーキンズ著)という本を読み、アメリカにキネシオロジーという手法があることを知りました。

 Oリングテストは、あるものが身体によいかどうかということを、筋肉の反応に聞くという手法です。ホーキンズのキネシオロジーは、これを身体だけではなく、社会現象にまで拡張したものです。

 しかし、社会現象まで広げると、恣意的な要素が出てきます。現に、ホーキンズのキネシオロジーは、アメリカ文化の影響を強く受けています。つまり、アメリカ人の価値観や集合意識に、結果がかなり影響されているのです。

 しかし、そういう限界を見きわめた範囲で使えば、これらの手法は、思考の無駄な遠回りを減らすことができるのではないかと思いました。つまり、間違った仮説で考えを深めることが少なくなるのではないかということです。


 ところで、Oリングテストやキネシオロジーがなぜ可能なのかというこは、まだ立証されていません。Oリングテストは、米国で特許を取得するなどその効果は実証されていますが、仕組みは実はよくわかっていません。科学として考えるためには、物理的な因果関係が必要になりますが、物理的な媒体がまだ見つかっていないのです。

 そこで、ここは発想を変えて、これらの手法を、科学の問題としてではなく、哲学と工学の問題として考えていけばよいのではないかと思います。つまり、理屈はまだわからないが、何しろ役立てばよいという考えです。


 では、具体的にどうするかというと、あることを考えるために構成図を書いた場合、途中で仮説がいくつか出てきます。すると、それらをOリングテストやキネシオロジーでチェックします。そこで、いちばん妥当性が高いものを中心に考えを進めていくということです。

 また、自分ではよい考えだと思っていても、Oリングテストやキネシオロジーなどでチェックをすると、それほどの結果が出ないことがあります。それは、まだ考えを深める余地があると見ることができます。

 Oリングテストやキネシオロジーは、ひとりでものを考えるときのよい相談相手になるという感じで使っていけるのではないかと思います。

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構成図(25) 

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読書指導を計画中―付箋読書、問題集読書を中心に as/901.html
森川林 2010/05/14 09:30 



 今年の3月に、小5以上の希望者を対象に問題集読書と四行詩の練習を1週間分だけしました。

 2011年度用の問題集は、全国で6月前後に発売されます。それが発売されるようになってから、本格的に問題集読書の指導に取り組むことを計画しています。

 通学教室では、現在、教室にある問題集を貸出方式で読んでいます。小学校高学年や中学生以上の生徒は問題集読書ですが、小学校低中学年の生徒は、教室にある本を貸出して、普通の付箋読書をしています。小学校5・6年生は、普通の読書でも問題集読書でもどちらでもいいというようにしています。何しろ、毎日本を読むということが大事だからです。


 今、読書の大切さが再認識されるようになり、学校でも読書指導に取り組むところが増えてきました。しかし、子供たちの中には、「本は学校で読んでいるから、家では読まない」「家では勉強が忙しいから、本を読んでいる暇がない」というようなことを言う子がいます。これは、実は、さかさまです(笑)。学校は勉強するところで、家は本を読むところです。

 読書の結果がはっきり表れるのは、中学生になってからです。家で本を読む習慣のある子は、国語、数学、英語とも成績が上がります。本を読む習慣のない子は、その反対です。この傾向は、もちろん小学校時代からも表れています。

 しかし、家で本を読む習慣と、学校での本を読む指導との間に、相関関係はありません(特に中学生以上の場合)。本を読む習慣をつけるためには、家で独自に本を読む家庭の文化を作っていく必要があるのです。そのためには、親が日常生活の中で折に触れて本を読んでいるということが大事です。

 図式的に言えば、親が本を読まず、子供も本を読まず、勉強ばかりに力を入れている家庭の子は、次第に成績が下がります。逆に、親も子も本を読み、勉強は普通にやっているという子は、学年が上がるにつれて次第に成績が上がってきます。

 家庭で本を読む習慣をつけるためには、最初は、毎日の時間を決めて、家族全員が一斉にそれぞれ好きな本を10ページ以上読むというような意識的な取り組みをしていく必要があります。家庭の文化を変えるというのは、それぐらい気合いを入れないとできません。


 本を読む力のある子は、小学校高学年以上になると、問題集読書のような歯ごたえのある知的な文章を読むことに喜びを感じるようです。子供たちの書いた四行詩を読んでいると、そういうことが感じられます。

 しかし、本は毎日読んでいても、四行詩は二、三日しか書かないという子もかなりいます。それは、本読みは気楽にできるが、ノートを取り出して何かを書くという作業はなかなか気楽にはできないからという理由によるものだと思います。

 そこで、今考えているのは、本を読むときは読むことだけに徹底させて、付箋を貼りながら読むだけにするという方法です。そして、1週間たったら、付箋を貼った箇所をもとに四行詩をまとめて書くという形です。付箋を貼ること自体は、全く負担はありません。かえって、読んだ結果が残るので、読書がはかどるようになります。付箋を貼ってある箇所を見れば、四行詩はすぐに書くことができます。

 通信教室の場合は、先生が本を直接チェックすることができないので、小学校低学年の場合は、読んだ本の記録をシールなどを貼る簡単な形でお母さんに見てもらうことを考えています。小学校中学年は、付箋読書を中心に四行詩を書いて提出する形というです。小学校高学年、中学生、高校生は、問題集読書を中心に四行詩を書くという形です。

 以上のような読書指導の計画を現在考えています。

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勉強はスポーツのように明るく単純に取り組む as/900.html
森川林 2010/05/13 08:59 



 スポーツの練習では、「今日はかったるい」「休みたい」などと子供が言ったら、コーチは、「何を言ってるんだ」「しっかりしろ」とどなって練習をやらせて、何も問題はありません。できないことをさせるわけではありませんから、がんばらせることは無理なくできます。子供は、「えー」などと言っても、コーチが断固として決めたことについては、喜んで従います。子供は、大人からはっきりし指示をされることを求めているのです。

 ところが、勉強になると、迷いだす大人がいます。子供が、「くたびれた」「やりたくない」などと言うと、「そう、困ったね」などと、それに引きずられてしまう人が多いのです。

 例えはよくありませんが、小6の長文に、「ペットの犬に引っ張られて散歩する日本人」という話が出てきます。吠える犬、噛む犬など、言うことをきかない犬の共通点は、犬が自分を主人だと思っていることです。そういう関係になると、人間はいつも犬を叱り、犬はいつも言うことをきかないという状態が固定化します。

 ところが、人間と犬の関係がうまくいっていると、人間は自由に犬に任せ、犬は自然に言うことをきくという状態になります。こうなると、ムチもアメも必要ありません。

 教室で勉強をしていると、ときどき、「先生、わからない。来て」と、遠くから叫ぶ子がいます。生徒の方が、自分が主人だと思っているのです(笑)。だから逆に、先生が、「○○君、説明するからちょっとおいで」などと言ってもなかなか来ません。

 スポーツの練習であれば、こういう場面はまずありません。「○○、ちょっと来い」「はい!」と、呼ばれればすぐにダッシュで来るのが普通です。

 企業が、スポーツをしていた学生を採用するのは、スポーツをしていると、このように自然に健全な人間関係ができるということと、スポーツをしていると勝ち負けにタフになるということがあるからです。

 いったんできた人間関係は、なかなか変えられません。先生と生徒の関係も、親と子の関係も同じです。しかし、犬と人間の関係と違い、人間どうしの関係は、方針がはっきりしていれば、徐々にいい方向に変えていくことはできます。その方針とは、スポーツの練習のように、日常生活や勉強を、明るく単純にきびきびと行っていくということです。

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記事 899番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
スズメのマンション、スズメゾン as/899.html
森川林 2010/05/12 04:14 


 教室の玄関によくスズメが来るので、えさをやっていたらだんだん慣れてきて、手の届くぐらいのところまで近づくようになりました。

 ある日、新聞で、都会からスズメが減っているという記事を見ました。スズメの住宅難なのだそうです。

 そこで、楽天で、セキセイインコ用の巣箱が安く出ているのを見て、早速10箱注文して、表に出した本棚に並べておきました。

 翌日、ふたを開けてみると、何とその中にもう巣の材料の草が運び込まれています。10箱とも全部そうなので、思わず笑ってしまいました。


 子供はみんな生き物が好きです。しかし、住宅事情やアレルギーなどで、なかなかペットを飼う機会が持てません。そういうとき、自然に目を向けると、人間と仲のよい生き物はたくさんいます。例えば、奈良公園のシカです。奈良公園と同じように日本中の公園にシカを放し飼いにしたら、子供たちは大喜びするでしょう。

 シカがだめなら、ニワトリやアヒルでもかまいません。子供が朝起きたらすぐに公園に行って、朝ごはん用の玉子を探してくるなどということになれば、子供たちは毎朝張り切って早起きするでしょう。

 本当は、街路樹も、ユリノキなどではなく、実のなるイチョウやカキやクリなどを植えて、そこにアケビやノブドウのつるをはわせておけば、毎日学校に行くのも楽しくてたまらなくなるはずです。

 と、そこまで行かなくても(笑)、ベランダにスズメ用の巣箱を一つ設置しておき、毎朝あまったご飯でえさをやっておけば、家の中でカゴに入れたペットを飼うよりも、ずっと面白い生き物体験ができるということがわかりました。


 未来の地球は、人間どうしの争いがなくなるとともに、人間と動物の間にも争いはなくなるようになると思います。それでも、ステーキやフライドチキンを食べたいという人はいるでしょうから、植物性タンパク質で肉と同じような食感のものが開発されるようになるはずです。そうすれば、もう牛や豚や鶏を食べる必要はなくなります。

 動物園も、やがてなくなるので、動物を見たければ、その土地に行けばよいというようになるでしょう。

 ペットも、カゴに入れて飼うようなものではなく、自然の生き物と人間が共存することがペットのある生活ということになると思います。

 日本人は、ツバメと仲よく暮らす文化を持っています。その文化を、スズメやほかの生き物たちに少し拡張するだけで、すぐにたくさんの和やかな、動物たちとの関係が生まれてくるのです。

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記事 898番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
小学校4、5、6年生で上手に書ける子の指導 as/898.html
森川林 2010/05/11 08:50 



 小学校4、5、6年生で、もうすっかり上手に書けるという子がいます。こういう子をどう指導したらよいのでしょうか。

 こういう子に、更に上手に書かせるようとすれば、あら探しをするような指導になります。小学生の生活作文の一つの完成した形に到達したと見なしておく必要があります。

 そこで、学習の目標は、ひとつには、この段階で小学校時代の思い出に残る生活作文をたっぷり書くということになります。

 もうひとつは、次の説明文、意見文の課題の準備をするということです。

 小学校高学年の上手な子の中には、「こう書けば先生に受けるだろう」というような発想をする子もいます。しかし、こういう技術的なことに満足してしまうと進歩は止まります。

 感想文や意見文では、裏の裏の裏の考えまで意見を深めることができます。そういうことを親や先生など大人の人が話してあげると、作文についてもずっと向上心を持って取り組むことができます。

 実は、小学校6年生まで上手だった子が、中学生になるとがくんと下手になる(ように見える)ケースがよくあります。それは、生活作文(事実文)は上手に書けても、意見文には慣れていないからです。意見文にふさわしい、語彙、実例、意見は、事実文で書いていたものとは異なります。

 したがって、小学校4、5、6年生の作文の勉強というのは、作文だけではなく、途中から読解の勉強に力を入れる必要が出てきます。生活作文的な題名の文章は上手に書き続ける一方で、感想文課題で実例を広げたり、問題集読書などで難しい文章を読む練習をしたりしていくことです。

 あくまでも一般論ですが、小学校6年生までは、女の子の方が上手に作文を書きます。しかし、中学生、高校生になると、体験実例は上手に書くものの、なかなか社会的実例の広がりのある文章が書けなくなります。一方、小学校6年生までは、ごく普通に書いていた男の子が、中学生、高校生になると、社会的な実例のあるよく考えた文章を書いてくるようになります。

 作文の勉強は、その学年の中で見るのではなく、その先の学年との関連の中で見ていく必要があります。

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記事 897番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
学力テスト・体力テスト日本一の福井県の教育 as/897.html
森川林 2010/05/10 09:04 



 全国の学力テスト、体力テストで、福井県が秋田県と並んでトップの位置を占めています。

 月刊誌「致知」6月号に、フリーライターの大田あやさんが「福井県の教育に迫る」と題して、示唆に富んだ記事を書いています。

 これによると、福井県の特徴は、

○先生が尊敬されている

○塾に通う子が少ない

○学校から毎日宿題が出る(日本でいちばん宿題が多い)

○共働きの家庭が多いが(全国1位)

○三世代同居の家庭も多い(全国2位)

○子供部屋ではなくリビングで勉強している子が多い

ということです。

 福井県では、戦後すぐに行われた全国学力テストが組合の反対などで廃止されたあとも、独自に県内一斉の学力テスト、体力テストを継続していました。

 つまり、学校の中に、子供たちの学力や体力をつけるために、どのようなことをしたらいいのかというノウハウが蓄積されているのだと思います。こういう蓄積が宿題の出し方にも生かされているので、家庭でも安心して学校の宿題に専念させる環境が整っているのでしょう。

 これに対して、都会の学校では、宿題があまり出ないか、ときどき変わった宿題が出るという形が多いのではないかと思います。学力をつける上で大事なことは、毎日コンスタントに同じような勉強を習慣としてすることです。日によって違うことをやっても、なかなか実力はつきません。

 では、学校で定期的な宿題が出ない場合、家庭ではどのような勉強をしていったらいいのでしょうか。

 すぐに考えつくのは、市販の問題集などを用意して、毎日のページ数を決めてやっていくことですが、実は、こういう形の勉強は、あまり身につきません。なぜかというと、問題集を解くという勉強は、できた問題はもともとやらなくてもよかった問題ですし、できなかった問題は、ほとんどの場合答え合わせをしてやりっぱなしで終わってしまうことが多いからです。つまり、問題集を解く形の勉強は、できなかった問題だけを再度ピックアップしてできるようになるまで繰り返し解くという仕組みにしなければ、ほとんど勉強にはならないのです。

 家庭での勉強の中心にしていくものは、このような問題集を解く勉強よりも、実は読書です。読書は、日本語によって物事を考える力をつけるという点で、実は問題を解くような勉強よりも優先して行っていく必要があるのです。

 言葉の森では、今、毎日の自習として暗唱の勉強を進めていますが、今後、毎日の読書も確実にできるような工夫をしていきたいと思っています。

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記事 896番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/23
どうしたら上手な作文が書けるようになるか as/896.html
森川林 2010/05/09 11:23 



 どうしたら上手な作文が書けるようになるかということを考える場合、その前提として考えておくことが二つあります。

 第一は、上手か下手かということよりも、その作文が価値ある中身を持っているかどうかということが本当は重要だということです。野口英世の母の手紙は下手ですが、読む人を感動させます。


 おまイの しせにわ(出世)には みなたまけました
 わたくしもよろこんでをりまする
 はるになるト みなほカイド(北海道)に いてしまいます
 わたしも こころぼそくありまする
 ドカはやくきてくだされ 
 はやくきてくたされ はやくきてくたされ はやくきてくたされ はやくきてくたされ
 いしょ(一生)のたのみて ありまする
 にしさむいてわ おかみ(拝み) ひかしさむいてわおかみ しております
 きたさむいてわおかみおります みなみたむいてわおかんておりまする
 はやくきてくたされ いつくるトおせて(教えて)くたされ
 これのへんち(返事)ちまちてをりまする ねてもねむられません

(明治45年(1912年)母シカが英世に宛てた手紙より抜粋)

http://www.geocities.jp/ikiiki49/page018.html 」より引用



 しかし、では、中身がよければ上手下手はどうでもよいのかといえば、そうではありません。人間は、自信が持てないものには表現を遠慮します。せっかくよい中身を持っていても、それを必要なときに表現するためには、ある程度の自信として「自分はそこそこに文章が書ける」というものが必要なのです。


 第二に、では、文章の上手さと何なのでしょうか。実は、日本語の上手さは、英語や中国語などの他の言語と比べて要求されるレベルが高いのではないかと思います。それは、日本語という膠着語の特徴として、微妙なニュアンスが活用語尾の多様さの中にこめられているからです。この微妙なニュアンスの発展したものが顔文字だとも言えます。日本語の顔文字は、英語圏の顔文字よりもはるかに豊富です。


 例えば、日本語の顔文字

(^_^) (´∀`)(*゚ー゚)  (^○^) (*゚ー゚)  (^-^) (・∀・)  (^_-)-☆ (∈^▽゚)キラッ☆  (^-^) ( ^ω^)(*゚∀゚)アヒャヒャ  (*_*) Σ(゚Д゚;)  (゚o゚) キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!  (;_;) (ノд`)  (ToT) (´;ω;`)  (T_T) (ノдT)  (/_T) 。・゜・(つД`)・゜・。  (@_@) ( ゚∀。)  ( . .) (´・ω・`)  (・~・) マターリ(ノ´∀`*)マターリ  (#゜皿゜) (#゚Д゚)ゴルァ!! ( #`Д´) m9(^Д^)プギャー!!  (^_^; (;´Д`)  ( ´ー`)y─┛ (,,゚Д゚)y─┛  m(_ _)m m(__)m  ( ´,_ゝ`)プッ (゚c_、゚ )プッ ( ´_つ`) =^.^=  (=^ェ^=)  (=^. .^=)  ミ^・.・^彡  u・ェ・u  _l ̄l○、OTL, orz、or2  

 今度は、英語の顔文字

:-)   :)  =)  :-(  )-:  :(  :/  :|  :-D  :D  :-P  :P  ;-)  (-;  ;)  B-)  8-)  :-O  :o  XD  :/  

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A1%94%E6%96%87%E5%AD%97 」より引用



 このニュアンスの微妙さは、またアニメの技術にも表れています。欧米のアニメは、表情がほとんど同じです。日本のアニメは、微妙な心の動きや情景を表現する技術を持っています。

 よく日本語の語尾で、「である」「であろう」「であるまいか」「であると思われる」「であると言いたい」「でありはしないか」などの微妙な使い分けを見ると、欧米の人は、「どうして『である』と言い切らないのか」という疑問を持つようですが、これは、英語圏には、このような微妙なニュアンスを知覚する語感がないことから来る行き違いなのです。

 このため、日本語は推敲にもかなり時間がかかります。「推敲」という言葉の語源である「梨花」を「一枝」にするか「数枝」にするかというレベルよりもはるかに細かい推敲が要求されるのです。


 では、そういう文章の上手さは、どのようにして身につくのでしょうか。

 第一は、幼児期の読み聞かせや語りかけです。これは、同じようなパターンが繰り返されることが重要で、母親のような同じ人が同じような本を読んだり話しかけたりしていくことが必要です。

 第二は、したがって、幼児期の多様すぎるインプットは、かえって幼児の言語感覚の発達を阻害するのではないかということです。例えば、なぜ幼児にテレビを見続けさせるのがいけないかというと、そこで聞き取る言語のニュアンスが多様すぎるからです。同様に、ビデオやCDやDVDなどの教材も、使い方を十分に工夫する必要があります。いちばんよいのは、母親を中心に家族内の固定した少数の人間の言語感覚の中で、幼児期の言語環境を作っていくことです。

 第三は、しかし、幼児期ですべてが決定するわけではありません。成長してから好きな本にめぐりあって、その文章を味読すると、そこでも言語感覚が身についていきます。

 第四は、作文を書く機会を持つことです。作文を書く機会がないと、文章の中身と表現のギャップが自覚できないからです。

 第五は、暗唱のように繰り返し読む教材で学習することが役に立ちます。同様に、暗写や毎日の10ページ読書なども効果があります。

 作文の上手さは、作文以外の生活の中の言語環境から大きく影響を受けているのです。

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手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

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●本当の国語力は作文でつく
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●国語の勉強法
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●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

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