ログイン ログアウト 登録
 新学期の長文集をルビ付きにする予定です Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 101番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/24
新学期の長文集をルビ付きにする予定です as/101.html
森川林 2006/09/12 11:27 
 新学期の長文集の小学1・2・3年生の文章を中心に、ルビをふっていく予定です。

 ルビをふる理由は、漢字を読み間違える生徒が多いためです。
 もともと長文は、ルビなしの文章を、お父さんお母さんに読み方を聞きながら読むことを目的にして作られていました。ルビなしで読んでいくと、漢字を漢字のまま読む力がつきます。湯川秀樹が、小学校低学年のときに論語の素読をしたときの読み方も同じでした。
 しかし、現実に、多忙なご両親が、毎日長文の音読を聞き、そのつど読み方を教えるということは難しい面もあるようです。このため、中学生になると、読み方を間違えたまま長文を読んでいる生徒がかなりいました。

 そこで、印刷物の長文はルビ付きにして、ルビなしの長文はウェブに掲載するようにしました。

 ルビなしで読む力をつけるという考えは、いろいろな勉強の仕方に共通します。
 例えば、音楽の音符を読むときに、「ドレミ」などの文字を書いてしまう人は、なかなか音符を読めるようになりません。
 英語の文章を読むときに、日本文のようにうしろから戻って読む読み方をしていると、なかなか英語の文章に慣れません。(例えば、I can’t speak English.という英文の読み方は、「私は、英語を話すことができない」と訳しながら読むのではなく、「私は、できない、話すことを、英語を」という調子で読むということです)
 海辺で暮らしている人は、スイミングスクールなどに通わなくても自然に泳げるようになります。
 難しい文章に接していると、解説を聞かなくても自然に大体の意味がつかめるようになります。
 勉強の基本は、習うより慣れろで、その能率を高めるために知的な学習があります。

 ルビ付きの長文で読み方を覚えたあとは、ぜひウェブのルビなしの長文にも挑戦してみてください。

 さて、このルビの歴史です。
 戦前までの新聞は、ほとんどルビつきで印刷されていました。これは、国民教育という観点から、国民がすべて必要な文章を読めるようにするという政策の一環でした。
 しかし、戦後、日本が侵略戦争の道に進んだのは、正しい世論が形成されなかったためで、それは日本語に難しい漢字がありすぎたためだという議論が出てきました。当用漢字(今の常用漢字)は、このような議論の中で制定されました。
 当時は更に過激に、日本語をローマ字にしようとかひらがなだけにしようとかいう意見もあったようです。中には、日本語をやめてエスペラント語やフランス語を国語にしようという人もいたぐらいですから、いかに当用漢字が熱狂的な空気の中で制定されたかがわかります。(「エスペラント語や」の部分は元の資料未確認のため削除します)
 当用漢字の制定と合わせて、ルビをふらなければ読めないような漢字を使うのはやめようという考えが出てきました。これに、細かいルビの字は目に悪いという意見も加わりました。
 その結果、戦後の新聞は、当用漢字のみでルビなしという形でスタートしました。
 しかし、このルビなしの影響は、意外なところに現れました。これまで、ルビがあれば大人の読む文章も平気で読んでいた子供たちが、子供向けに書かれた優しい文章しか読めなくなったのです。日本人の総体的な読解力低下には、このことが一つの大きな原因となっています。
 現在、ルビを復活させようという声が出ているのは、以上のような背景があるからです。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。


コメント欄

後藤斉 2006年9月12日 12時29分 http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/gothitj.html 
>中には、日本語をやめてエスペラント語やフランス語を国語にしようという人もいたぐらいですから

フランス語を採用しようと提案した人は比較的知られていますが、「日本語をやめてエスペラントを国語にしようとした人」は私は思い浮かびません。具体的なことをご存知でしたらお教えください。

森川林 2006年9月13日 11時58分  
 エスペラント語を国語にという議論を読んだことがある気がしたのですが、元の資料がわかりません。
 不正確なので、この部分は訂正しておきます。

 ご指摘ありがとうございました。
 

後藤斉 2006年9月13日 22時15分 http://www.sal.tohoku.ac.jp/~gothit/espj.html 
エスペラントは「国際共通語」ですので、日本国内で日本語の使用をやめてエスペラントを国語に採用しようという提案をエスペランティストがすることは考えられません。ただ、エスペラントを知らない人がそういう提案をしたことがもしかしてあったかもしれず、そのような事例をご存知なのかと考えて質問しました。
ご訂正、ありがとうございます。真摯なご姿勢に敬意を表するものです。

コメントフォーム
新学期の長文集をルビ付きにする予定です 森川林 20060912 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
ほまみむ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「ほまみむ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。

コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習