ログイン ログアウト 登録
 古い勉強法、新しい勉強法(その4)―競争から心へ Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 1036番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
古い勉強法、新しい勉強法(その4)―競争から心へ as/1036.html
森川林 2010/10/07 09:25 



 前回、「競争を超えて」というタイトルで書きました。では、競争に代わるものは何でしょうか。それは、心をこめることだと思います。

 子供の教育で、競争や賞罰に頼るのは子育ての下手な人です。競争や賞罰を全くなくすことはできませんが、その割合を極力少なくしていかなければなりません。

 人間は、アメとムチで簡単に動かせるものではありません。そして、人間の意識はここ十数年の間にますます進化しています。競争や賞罰は、次第に効果が出なくなっているのです。

 人間がアメとムチの使い分けで動くと思う親や先生は、自分自身が同じようにアメとムチで動くかどうか考えてみればわかると思います。そういうレベルの低いコントロールには、従う人がどんどん少なくなっているのです。

 これは、人間どうしの関係だけでなく、国と国との関係でも言えます。昔は、武力と経済力で他国を支配することができました。これからは、急速にそういうことができなくなっています。

 では、競争や賞罰に代わって何が大事になっているかというと、それは心です。子供の教育に関して言うと、子供をコントロールする力は、強力なムチでも魅力あるアメでもなく、親や先生の心からの○○なのです。この○○の中に、賞賛、信頼、叱責などいろいろな言葉を入れることができますが、要するに、心から子供に接するということです。

 褒める場合でも、言葉の上だけで褒めるのではなく、また賞をつけて褒めるのでもなく、心から褒めるということです。叱る場合でも、口先だけで叱るのではなく、また「○○をしないと□□をさせない」というような罰を与えて叱るのでもなく、心から叱ることです。

 先日、小学校高学年の男の子のお母さんから相談の電話がありました。その子供自身は作文がよく書ける子ですが、ときどき母と子の間でいざこざがあるようです。そのときの相談の内容は、「作文をなかなか書き出さない」「作文を書かないと、好きなサッカーをやめさせると言っているが言うことを聞かない」「子供は、もっといい賞品が出ないとやる気にならないなどと屁理屈を言っている」ということでした。もう、そのままです(笑)。

 親が口先で子供をやる気にさせるつもりで、「○○しないと□□させない」「○○したら□□させてあげる」などと言うので、子供はかえって、親のその見えすいたコントロールに反発してしまうのです。もちろん、子供自身はそういうことを自覚していません。しかし、敏感な子はそれを感じてしまうのです。

 子供が親と同じような低いレベルに反応する子であれば、うまくいくかもしれません。ところが、子供の方が親よりも純粋なので、親に反発してしまうのです。だから、これは子供の問題ではなく親の問題です。

 では、親は何をしたらいいのでしょうか。それは、親自身が自己を向上させることです。

 親が、自分は多忙や疲労を理由に安逸な生活を送り、子供にだけ勉強をさせようとするから、アメとムチという発想しか出てこないのです。親がまず自分の人生をしっかり生きることが大事で、そこで初めて子供に対しても、心からの言葉をかけることができるようになるのです。

 では、親が自己を向上させるというのは、どうしたらできるのでしょうか。人生の目標は人によって違うので、一概に言うことはできませんが、共通するのは読書をすることだと思います。子供と同じになってしまいましたが(笑)。

 要するに、働くでも、学ぶでも、遊ぶでも、親が気迫のある生き方をしていれば、言う言葉にも自然に心がこもり、子供も自然に親の言うことを聞くようになるのです。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 勉強の仕方(119) 

コメント欄

コメントフォーム
古い勉強法、新しい勉強法(その4)―競争から心へ 森川林 20101007 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
めもやゆ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「めもやゆ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 勉強の仕方(119) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習