ログイン ログアウト 登録
 旧社会から新社会へ(1)江戸時代の寺子屋に見る未来の教育の姿 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 2202番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
旧社会から新社会へ(1)江戸時代の寺子屋に見る未来の教育の姿 as/2202.html
森川林 2014/08/27 10:37 


 現代は、時代の変わり目です。かつての貴族階級が武士階級に取って代わられたような、あるいは、武士階級が市民階級に取って代わられたような、大きな時代的変化があったときと同じ状況にあります。なぜなら、社会の基礎となるシステムがあちこちで行き詰まりを見せているからです。今は、旧社会から新社会への大きな変化が起きる前夜だと言ってもよいでしょう。
 旧社会は、これから来るさまざまな荒波の中で、次々に崩れていくでしょう。その崩壊の前兆が、今起きているさまざまな混乱だとも言えます。経済破綻、暴動や戦争、パンデミック、自然災害など、人類が直面しているいくつもの困難と入れ替わるように、新社会への芽が今あちこちで生まれています。それは、例えば、保江邦夫さん、木内鶴彦さん、木村秋則さん、安保徹さん、秋山佳胤(よしたね)さんなどの本に表れている世界です。

 では、このような新旧の入れ替わりの社会の中で、私たちはどのような行動を取っていけばよいのでしょうか。
 それは、旧社会での弱肉強食の競争に勝つ一方で、新社会の競争ではなく創造の、互いに与え合う社会の準備をすることです。
 言葉の森は、その新社会への取組を教育の場で行っていきたいと思っています。

 しかし、新社会に向けての取り組みは、現代の社会ではまだ形にはなりにくいものです。だから、当面は、今の社会の必要性に対応した取り組みをしていく必要があります。
 今の社会への対応の特徴をひとことで言えば、デフレへの対応です。あらゆるものが低価格化に向かう中で、品質を下げたり、どこかにしわ寄せを向けたりする低価格ではなく、本質的な低価格を目指すことがデフレへの対応策です。
 本質的というのは、従来のものよりも低価格であるだけでなく、高品質だというものでなければなりません。それは、今生まれている木村さんの農業であったり、安保さんの提唱する医療であったりするものです。
 それを、教育の場で行うものが寺子屋教育です。

 寺子屋教育というと、多くの人は、少人数の手間暇をかけた親身な教育のように考えていると思います。確かに、そういう一面もあったでしょう。しかし、寺子屋教育の本質は、どちらかと言えば、それとは正反対のものです。
 先生1人に生徒多数で、先生はのんびり自分の好きな本を読んでいるような状態の中で、子供がのびのびと自学自習を進めていくような教育が、寺子屋教育の姿でした。その中で、生徒と先生が生涯のつながりを持つような関係が成立していたのです。

 寺子屋では、朝7時から午後2時ごろまで毎日6、7時間、小1から小6までの無学年制で、教室によっては50人から100人の生徒が1人又は少数の先生のもとで勉強をしていました。
 しかも、この寺子屋は、一般庶民の子に開放された大衆的な教育で、この教育が当時の日本人の識字率70~80パーセントという世界でも類を見ない成果を生み出していました。
 そして、この寺子屋の中で、子供たちはのびのびと笑顔で学んだり遊んだりいたずらをしたりして過ごしていたのです。その明るい教室の様子は、当時の浮世絵に数多く表されています。

 これと対極的なのが、その当時のヨーロッパの教育で、お金持ちの子弟だけを集め、教師がムチを持って教えこむ厳しい教育でした。これも、当時の絵画の中に子供たちの教育の様子として描写されています。

 現代の世界の教育は、日本の寺子屋教育ではなく、このヨーロッパの教育の延長にあります。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
未来の教育(31) 言葉の森のビジョン(51) 

コメント欄

コメントフォーム
旧社会から新社会へ(1)江戸時代の寺子屋に見る未来の教育の姿 森川林 20140827 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
あいうえ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「あいうえ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
未来の教育(31) 言葉の森のビジョン(51) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習