読書と勉強はどちらも大切ですが、うまく両立させるためには、時間設定をすることが必要になります。
勉強は、既に答えの分かっている世界ですから、あまり面白いものではありません。そしてその割りにややこしいものが多いのです。これに対して読書は、新しい未知の世界が開けていくという喜びがある一方、楽に始められるという面があります。
勉強はつまらないがエネルギーが必要で、読書は面白くてエネルギーがほとんど必要ないのですから、これをうまく組み合わせていくことがコツになるのです。
そのやり方は、勉強を始める前に短い時間、例えば5分間だけ読書をすることにして、その時間をタイマーで予め音が鳴るようにしておくのです。
昔、言葉の森の作文教室で子供たちがパソコンで作文を書いていたころ(今はパソコン入力は清書の時だけで、普段の作文は手書きで書いていますが。)教室に来るとパソコンの中にあるゲームをひとしきりやって、それからおもむろに作文を書き始めるという子がよくいました。
最初に軽くやりやすい遊びのような所からスタートし、そこで加速をつけてから重い勉強に取り掛かるのです。
しかし、読書やゲームにはそのまま熱中してしまうという落とし穴もあります。そこで始める前に5分のタイマーをセットしておくのです。楽しいことは始める前に「終わりの時間」を設定し、苦しいことは終わる時に「次に始める時間」を設定しておくというのが勉強と遊びをうまく両立させるコツです。
これに対してよくないやり方は、ただ漠然と取り掛かりやすい読書をさせて、途中からそろそろやめなさいという指示を出すことです。
よいやり方は、読書をする前に5分間本を読んだら勉強を始めようね、と言って本を読ませることです。このコツをつかむとスタートの時だけでなく、勉強の合間の休憩もうまく取ることができます。
例えば、30分たったら5分休憩、60分たったら10分休憩のように、勉強の時間と休みや遊びの時間を組み合わせていくと、長い時間の勉強もスムーズにできます。
これは山道を登る時も同じで、最初の体力があるうちに休まずにどんどん進んでいくと、途中で疲労してしまいますが、最初から休憩の時間を決めておけば長い距離を歩き続けることができるのです。
5分間の読書休憩を挟む時は、本に小さな付箋を貼っておくと便利です。しおりのような自由に移動させられるものよりも、小さい付箋のように固定したものの方が、始めと終わりのメリハリがはっきりしてくるという効果があるのです。
しかし、近い将来は子供たちもキンドルを利用して、蓋を開ければいつでも読みかけのページが開くというようなものになると思います。
スタートの読書は加速をつけるためです。休憩の読書はエンジンをかけたまま、アイドリングで休憩するためのものです。
では、本格的な読書はいつするかというと、勉強が終わって何もすることがなくなってからたっぷりとしていくのです。
本を読んでいると面白くなり途中で止まらなくなることがあります。その時は寝る直前まで本を読めるようにしておきます。
これがもし逆に読書を先にたっぷりして、その後勉強するというような流れにすると、読書が長引いてしまうことが必ず出てくるので、あとの時間が圧迫されて勉強の時間がなくなってしまうのです。
小学生のころの家庭学習は、読書第一勉強第二ですが、時間の順序としては、勉強を先に読書を後に、でやっていきます。
この、勉強のあとのたっぷり読書が、小学生のころの子供たちの成長の最も大事な栄養となっていくのです。
読書の習慣がなかなかつかない、という相談を生徒さんのお母様からよく受けます。この「勉強の始めに5分間読書」というのは、頭の切り替えにもいい方法だと思いました。
読書の習慣がなかなかつかない、という相談を生徒さんのお母様からよく受けます。この「勉強の始めに5分間読書」というのは、頭の切り替えにもいい方法だと思いました。