ログイン ログアウト 登録
 上手な作文とそうでない作文の差は語彙力の差。語彙の多様性が上手な作文の条件。そのためには、読書と対話で、作文の土台となる語彙力を育てていくことが大事。語彙力は知識としてではなく生きた経験として身につく Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
Onlineスクール言葉の森・サイト Onlineスクール言葉の森
記事 4997番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/12/4
上手な作文とそうでない作文の差は語彙力の差。語彙の多様性が上手な作文の条件。そのためには、読書と対話で、作文の土台となる語彙力を育てていくことが大事。語彙力は知識としてではなく生きた経験として身につく as/4997.html
森川林 2024/02/29 05:49 

ナデシコ



 昔、中学生、高校生の書いた作文をいくつも見比べてみたことがあります。
 よく見ると、どうしても、ある作文の方が上手に見えます。

 しかし、どこが違うのか、書いてある内容や表現や主題を見ても、そこに大きな差があるようには見えません。
 しかし、何度見ても、ある作文の方が上手に見えるのです。

 そこで、それらの作文の語彙を全部抽出して調べてみました。
 すると、語彙の多様性に微妙な違いがあることがわかったのです。

 語彙の多様性以外に、語彙の種類も関係がありましたが、最も大きな違いは多様性でした。
 上手な作文は、ある内容を表すのに、同じ語彙を使わずに多様な語彙を使って表現しているのです。

 しかし、人間が目で見てもその違いはわかりません。
 漠然と、ある作文の方が上手に見えると感じるだけなのです。
 その差は、機械で集計して初めてわかるような差だったのです。

 その差が集計の差として出るためには、作文の字数は1200字以上必要だということもわかりました。
 600字や800字の作文では、誤差の方が大きくなるので、必ずしも上手な作文の方が点数が高くなるとは言えません。
 しかし、1200字になると、語彙の多様性と人間が見て上手だと感じる感覚は一致してくるのでした。


 では、作文の勉強法として、どうしたら語彙が多様な作文を書けるのでしょうか。
 その方法のひとつは読書で、もうひとつは対話なのです。

 作文力は、言わば氷山の水面上に出ている部分で、その水面下には読書力というより大きな土台があります。

 だから、作文力は、書いたあとの添削によって上達するのではなく、その土台となる読む力をつけることによって根本的に上達するものなのです。

 ところで、小学4年生までの作文は、主に事実中心の生活作文です。
 だから、物語文の本を読んでいる子は、生活作文を上手に書けます。

 しかし、小学5年生からは説明文、中学1年生からは意見文になります。
 この時期に、説明文、意見文の本を読んでいないと、作文に必要な語彙が出てきません。

 今の学校では、中学生や高校生で作文の指導がされることはほとんどないので、高校生でも生活作文のような文章を書いている人は意外と多いのです。


 作文力のもうひとつの土台は、対話です。
 小学生でも、親子の対話が多い子は、自然に長い感想を書きます。

 対話の少ない子は、「とてもたのしかったです。」というような条件反射的な感想でまとめてしまうことが多いのです。

 この親子の対話は、子供の話を引き出すことではありません。
 親がいろいろな話をしてあげることです。

 その親の話も、単なる知識の伝達のような話ではなく、子供が面白がり、しかも考えることのできるような深みのある話であることが理想です。
 だから、親も読書によって日々新しい話題を仕入れておく必要があるのです。

 語彙力は、語彙の勉強でつくものではありません。
 語彙力のドリルや辞典や図鑑などは、気休めです。
 知識として語彙を覚えても、使える語彙にはなりません。
 読書や対話という生きた経験を通して身につけた語彙が、使える語彙になるのです。


 作文は、上達に時間のかかる勉強です。
 数学や英語は、本気になって取り組めば、数か月で著しく上達させることができます。
 苦手な子が普通になり、普通の子が得意になることまでできるのです。

 しかし、作文で、苦手な子が普通になり、普通な子が得意になるのは、数年間という遥かに長い時間がかかります。

 だから、作文指導で大切なことは、子供が書いたものを褒め続けて、何しろ勉強を持続させることです。

 作文の欠点を直して上達させようとすると、2、3回は効果があるように見えますが、それだけです。
 そして、直して上達させようとした子は、結局、作文の勉強を早々とやめてしまうのです。
 子供の作文を親が指導するのが難しいのは、そういう事情があるからです。



コメント欄

森川林 2024年2月29日 12時29分  
 上手な作文とそうでない作文の差は、語彙力の差です。
 それは、作文の題材がいいとか悪いとかいう話ではありません。
 評価されるのは、作文力であって作文ではありません。
 その作文力は、読書と対話によって上達するのです。

コメントフォーム
上手な作文とそうでない作文の差は語彙力の差。語彙の多様性が上手な作文の条件。そのためには、読書と対話で、作文の土台となる語彙力を育てていくことが大事。語彙力は知識としてではなく生きた経験として身につく 森川林 20240229 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
るれろわ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「るれろわ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
語彙力(0) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
Re: 標準新 森川林
 これは、確かに難しいけど、何度も解いていると、だんだん感覚 12/2
算数数学掲示板
標準新演習算数 あかそよ
3の1はできました。 2は、答えを見るとなんとか理解できま 11/23
算数数学掲示板
2024年11 森川林
●サーバー移転に伴うトラブル  本当に、いろいろご 11/22
森の掲示板
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン