ログイン ログアウト 登録
 四つの物語 Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 696番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
四つの物語 as/696.html
森川林 2009/11/30 21:40 


植物はどうして光のある方に曲がるのか

 土の中から、植物の芽が出てきました。芽は光に向かってどんどん伸びていきます。
 しかし、もしこれが、上からおおいがかぶせられているところで出てきた芽だとしたらどうなるでしょう。芽は、まっすぐ上に伸びるのではなく、光の差し込む方に体を曲げて伸びていきます。
 植物の芽が伸びる方向を決めているのは、植物ホルモンです。
 麦の芽の先の方に、オーキシンという植物ホルモンが作られます。このオーキシンは、光が普通に当たっているときは、芽の下の方に移動して芽を伸ばしていきます。
 しかし、光が例えば左側からしか当たらないところでは、陰になっている右側の方に移動します。すると、植物の芽の右側だけが成長して伸びていくので、植物は次第に左側に曲がっていきます。こうして、植物は光の当たっている左側に向かって成長するようになるのです。
 オーキシンには、下の方に移動するという性質もあります。植物が横に倒れると、オーキシンは倒れた植物の下の方に移動します。すると、植物の地面に近い方だけが成長して伸びていくので、植物は次第に起き上がってきます。こうして、植物は倒れても自然にまっすぐ起き上がるようになっているのです。

「どっこいしょっと」
「あれ、オーキシン君、何してるの」
「横にたおれちゃったから、オッキしてんの」

森林の移り変わり

 山火事やがけ崩れなどで、植物がなくなり土の地面がそのまま出てくるところがあります。
 そこに最初に生えてくるのは、栄養がなくても成長できるコケです。
 そのコケがだんだんと地面に栄養をあたえていくと、次に生えてくるのは背の低い草です。
 その草がくさってだんだんと地面の栄養を豊かにしていくと、次に生えてくるのは低い木です。
 低い木は更に地面の栄養を豊かにしていきます。また低い木は太陽の光をさえぎらないので、次には光の好きな高い木が生えてきます。光の好きな木には、クヌギ、ナラ、シイ、イチョウ、マツなどがあります。明るいところに生えている木です。
 高い木はもっと地面の栄養を豊かにしていきます。高い木は太陽の光をさえぎるので、次に生えてくるのは光の弱い方が好きな高い木です。弱い光の好きな木には、ブナ、アオキ、ヒイラギ、マサキ、ヤツデ、スギなどがあります。暗いところに生えている木です。
 では、次に生えてくるのは何でしょうか。弱い光の好きな高い木の下に生えてくるのは、やはり弱い光の好きな高い木です。
 こうして、森林は、弱い光の好きな高い木になって安定していくのです。

「あれ、アオキ君、元気がないね」
「うん、がけ崩れで周りの木がなくなったら、急に明るくなっちゃたんでね」
「そうかあ。アオキ君、光が苦手だったもんね」
「もう、青息吐息だよ」
「そんなこと言わないで。ヒッカリしてよ」

花の咲く時期

 花は、葉っぱの変化したものです。植物は、葉をしげらせて成長します。しかし、ある時期になると、葉をしげらせることをやめて、葉のかわりに花を作るようになります。
 この時期は、植物によって違います。一つは、日が長くなる冬から春にかけて花を咲かせるアブラナやヒメジオンなどの植物で、もう一つは、日が短くなる夏から秋にかけて花を咲かせるアサガオやキクなどの植物です。
 植物は、夜の長さがどれだけ長いかによって、花を咲かせる時期を知ります。これを利用して、アサガオを暗いところに置き夜を長くすると、まだ小さいうちに花を咲かせるようになります。
 また、キクの夜の時間にときどき明るい電気をつけて、夜が短いように思わせると、キクは冬になってからやっと咲くようになります。
 植物には、日の長さに関係なく、温度によって咲く時期を決めるタンポポやヒマワリなどもあります。

 では、人間は何によって花を咲かせる時期を決めるのでしょうか。
「うーん。うちのお母さんはいつも笑ってばかりいるから、年中花が咲いているみたいだなあ」
「ゼラニウムみたいなお母さんだね」

体を守る仕組み

 人間の体は皮膚によって守られています。食べ物でも、真空パックされたものは長持ちします。それは外から細菌が入り込めないからです。同じように、皮膚も人間の体の中に細菌が入り込めないようにぴったりと体全体をおおっています。
 しかし、人間の体にはぴったりおおえないところもあります。それが呼吸をするための鼻やのどや肺と、食べ物を消化するための口や胃や腸です。また、怪我をしたところも、皮膚が破れて外から細菌が入りこみやすくなります。
 皮膚のないところから進入した細菌は、条件がいいとねずみ算式に増えていきます。人間の体の中には細菌と戦う細胞がありますが、その細胞が増えるよりも早く細菌がどんどん増えると、人間は病気になってしまいます。しかし、時間がたつとだんだんと戦う細胞が増えてくるので、やがて病気から治っていくのです。
 いったん細菌と戦った体には、その戦いを記憶する細胞ができます。その記憶する細胞があると、同じ細菌がやってきてもすぐに戦う細胞を増やすことができます。こうして、人間は病気にかかって治る経験を繰り返すうちに、どんどん強くなっていくのです。

「人間の体ってすごいんだね」
「うん。細菌なんてばいきんみたいなもんだよ」(そのままだけど)
「でも、インフルエンザは手ごわいね」
「そうだなあ。細菌も、最近さあ、いい気んなってんからなあ」
「インフルエンザは細菌じゃなくてウイルスでしょ」
「まあ、そうウイルスぁいこと言わないで」



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
読み物(1) 

コメント欄

コメントフォーム
四つの物語 森川林 20091130 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
くけこさ (スパム投稿を防ぐために五十音表の「くけこさ」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
読み物(1) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習