ログイン ログアウト 登録
 競争の時代から創造の時代に―勉強の得意な人と苦手な人に Onlineスクール言葉の森/公式ホームページ
 
記事 835番  最新の記事 <前の記事 後の記事> 2024/11/22
競争の時代から創造の時代に―勉強の得意な人と苦手な人に as/835.html
森川林 2010/03/21 05:27 



 昔から、私は、競争して人に勝つということが好きではありませんでした。競争するぐらいなら相手に譲るという生き方をしてきました。今でも、2、3回押し問答をするような事態になると、まず相手に譲ります。譲らないときは、理屈で譲るべきではないと思っているときだけです。しかし、理屈でそう思っていても、相手がかわいそうなときはたぶん譲ると思います(笑)。

 だから、子供たちの受験にしても、その子の合格は願っていますが、心の中では全員が合格すればいいと思っています。

 さて、合格に価値があるのは、今の社会の中で、合格が指定席のイス取りゲームのイスと同じようなものと考えられているからです。しかし、本当はそうではありません。

 限られたイスを奪い合うのではなく、自分で座るイスを作ればいいというのが本当の道です。勉強とは、イスを奪うためにするのではなく、イスを作るために行うものだと考えればわかりやすいと思います。

 昔、ある進学校から東大を出て弁護士になった子がいました。その子が社会人になって、「自分は、結局、勉強しか得意なものがなかったから(こういう形で社会に出ることになった)」というようなことを言っていました。ほとんどの親は、勉強が得意ならそれで十分だと思うでしょう。しかし、本当に大事なのは、勉強プラスアルファのアルファの部分です。それは、オンリーワンの部分と言ってもよいでしょう。

 今、時代は、大きく変わりつつあります。これからの社会で必要なものは、勉強という知性だけでなく、個性を発揮する勇気と、周囲のすべての人に対する愛情です。

 しかし、もちろん勉強にも大きな価値があります。法律や会計やプログラミングも、収入のために仕事をするだけであればあまり楽しい仕事とは言えませんが、いずれ自分でプラスアルファの人生を歩くときの手段になると考えればやる気がわいてきます。

 大事なのは、勉強ではなく、自分らしいプラスアルファを育てることです。勉強の得意な人は、特にこのことをよく考えていってください。

 では、勉強の苦手な人は、どう考えたらいいのでしょうか。今の勉強は、受験で差をつけるための勉強になっているので、人生に大事なことを学ぶというよりも、点数の差がつきやすいことを学ぶという面があります。大事なのは、自分の人生を豊かにするための教養として勉強をしていくことです。他人から与えられる評価のために勉強するのではなく、将来自分らしい人生を作るための土台として勉強していくと考えてください。

 今、学校で勉強している内容は、人類が何百年も、時には何千年もかけて蓄積してきた知識の体系です。時々、「数学なんて役に立たない」とか「英語なんて何で勉強するのかわからない」という負け惜しみを言う人がいます(笑)。しかし、そういうことはありません。いずれ人生で役に立つと多くの人が合意しているから、今の勉強の体系ができているのです。また、今勉強していることがすべて役に立つような幅の広い人生を、みなさんがこれから作っていく必要があります。

 政治や経済や科学技術の難しいことは優れた専門家にまかせて、自分は自分に与えられた範囲の仕事を平穏にこなしていけばよいというのは、昔のピラミッド社会の発想です。これからは、すべての人がひとりひとり、自分個人や自分の家族の代表としてではなく、日本人や人類の代表として生きることが求められる時代になってくるのです。



同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 

コメント欄

コメントフォーム
競争の時代から創造の時代に―勉強の得意な人と苦手な人に 森川林 20100321 に対するコメント

▼コメントはどなたでも自由にお書きください。
すせそた (スパム投稿を防ぐために五十音表の「すせそた」の続く1文字を入れてください。)
 ハンドルネーム又はコード:

 (za=森友メール用コード
 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。
同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
教育論文化論(255) 
コメント1~10件
読解問題の解き Wind
面白かった 10/11
記事 4027番
長文の暗唱のた たろー
この世で一番参考になる 9/30
記事 616番
「桃太郎」を例 匿名
役に立った 8/15
記事 1314番
日本人の対話と 森川林
ヨーロッパの対話は、正反合という弁証法の考え方を前提にしてい 8/6
記事 1226番
日本人の対話と よろしく
日本人は上に都合がよい対話と言う名のいいくるめ、現状維持、そ 8/5
記事 1226番
夢のない子供た 森川林
「宇宙戦艦ヤマトの真実」(豊田有恒)を読んだ。これは面白い。 7/17
記事 5099番
日本人の対話と 森川林
 ディベートは、役に立つと思います。  ただ、相手への共感 7/13
記事 1226番
日本人の対話と RIO
ディベートは方法論なので、それを学ぶ価値はあります。確かに、 7/11
記事 1226番
英語力よりも日 森川林
AIテクノロジーの時代には、英語も、中国語も、つまり外国語の 6/28
記事 5112番
創造発表クラス 森川林
単に、資料を調べて発表するだけの探究学習であれば、AIでもで 6/27
記事 5111番
……次のコメント

掲示板の記事1~10件
現在森リンベス 森川林
このあとの予定。 ・森リンベストを直す(直した) ・森リ 11/20
森川林日記
Re: 入会手 言葉の森事務局
 お世話になっております。  弟さんのみご入会が1週間 11/15
森の掲示板
入会手続きにつ やすひろ
お世話になっております。 個別掲示板を開けませんので、ここ 11/15
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Mr. 1
1 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板
Re: 項目の 1
> いつもありがとうございます。 > > こすほ 11/14
森の掲示板

RSS
RSSフィード

QRコード


小・中・高生の作文
小・中・高生の作文

主な記事リンク
主な記事リンク

通学できる作文教室
森林プロジェクトの
作文教室


リンク集
できた君の算数クラブ
代表プロフィール
Zoomサインイン






小学生、中学生、高校生の作文
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

主な記事リンク
 言葉の森がこれまでに掲載した主な記事のリンクです。
●小1から始める作文と読書
●本当の国語力は作文でつく
●志望校別の受験作文対策

●作文講師の資格を取るには
●国語の勉強法
●父母の声(1)

●学年別作文読書感想文の書き方
●受験作文コース(言葉の森新聞の記事より)
●国語の勉強法(言葉の森新聞の記事より)

●中学受験作文の解説集
●高校受験作文の解説集
●大学受験作文の解説集

●小1からの作文で親子の対話
●絵で見る言葉の森の勉強
●小学1年生の作文

●読書感想文の書き方
●作文教室 比較のための10の基準
●国語力読解力をつける作文の勉強法

●小1から始める楽しい作文――成績をよくするよりも頭をよくすることが勉強の基本
●中学受験国語対策
●父母の声(2)

●最も大事な子供時代の教育――どこに費用と時間をかけるか
●入試の作文・小論文対策
●父母の声(3)

●公立中高一貫校の作文合格対策
●電話通信だから密度濃い作文指導
●作文通信講座の比較―通学教室より続けやすい言葉の森の作文通信

●子や孫に教えられる作文講師資格
●作文教室、比較のための7つの基準
●国語力は低学年の勉強法で決まる

●言葉の森の作文で全教科の学力も
●帰国子女の日本語学習は作文から
●いろいろな質問に答えて

●大切なのは国語力 小学1年生からスタートできる作文と国語の通信教育
●作文教室言葉の森の批評記事を読んで
●父母の声

●言葉の森のオンライン教育関連記事
●作文の通信教育の教材比較 その1
●作文の勉強は毎週やることで力がつく

●国語力をつけるなら読解と作文の学習で
●中高一貫校の作文試験に対応
●作文の通信教育の教材比較 その2

●200字作文の受験作文対策
●受験作文コースの保護者アンケート
●森リンで10人中9人が作文力アップ

●コロナ休校対応 午前中クラス
●国語読解クラスの無料体験学習