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中国、アメリカ、日本、教育。 as/765.html
森川林 2010/02/06 05:12 


 四題話のような題名ですが。(^^ゞ


 中国は、輸出主導から内需拡大に経済政策を移行させているようですが、同時に経済がバブル化し国内の矛盾が高まっていると言われています。

 一方、アメリカは、強力な財政政策で国内経済に輸血を行っていますが、その大半が金融部門の救済に消費され、実体経済の回復には結びついていないようです。

 そして、肝心の日本は、巨大な財政赤字を抱え、これ以上の財政政策を行う余裕がなくなりつつあります。


 このような中で、多くの国が、自国の利益のために他国の犠牲を求めるという姿勢を打ち出していけば、それは二度の世界大戦を引き起こした構図と同じです。

 他国を犠牲にして自国を助けようと思うのではなく、自国の内部の努力で経済のソフトランディングを目指さなければなりません。特にアメリカ(笑)。


 アメリカは、今後、経済の縮小に見合う形で軍事力の削減を行っていく必要があります。そして、民主主義に立脚した農業とサービス業の静かな大国として暮らしていくべきです。アメリカ一国が圧倒的な経済力と軍事力で世界のリーダーを自認していた時代はもう終わりつつあります。


 そして、アメリカの軍事力の空白によって生まれる国際社会の無秩序状態は、日本が提唱する新国連によってコントロールされるようになるのが未来の理想の姿です。これまでアメリカの国益のために戦略を練っていた優秀な人材は、新国連で、一国の国益のためにではなく、地球全体の利益のために戦略を練っていくようになるでしょう。


 世界の仕組みをこのように変える力は、暴力によってもたらされるのではありません。現代の矛盾に満ちた社会を、新しい理想の社会に変える展望を実際に指し示す国が登場することによって、アメリカも、中国も、そして世界中の国がその国の内部から自分の国を変えていくのです。


 その新しい展望を示す国にいちばん近い位置にいるのが日本です。日本が、今後、新しい哲学のもとに、新しい政治、新しい経済、新しい教育を生み出し、それを実現した社会を作っていけば、それは軍事力のような強制によってではなく、文化的な権威によって自ずから世界を変革する力になっていくのです。

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熱中力 as/764.html
森川林 2010/02/05 10:09 


 昨日の「自然読解力」に続いて、今日は「熱中力」。力の入った記事が続きます。ただ「力」という言葉が入っているだけですが。

 つくば万博の1本に1万個も実るトマトの秘密は、ハイポニカ農法とともに、トマトが根を出し始めた時期に過酷な条件を与えることにあったと聞いたとがあります。つまり、根が、がんばろうという初期設定をするのが、出発点になっているのです。

 子持自然恵農場のニワトリは、ひなの時期に硬いえさを食べさせるそうです。「胃腸を丈夫にしないと生き残れない」という初期設定をしたニワトリは、成長しても元気に育っていくのです。

 日経新聞の「私の履歴書」という著名人の自伝の欄を時々読みますが、多くの筆者に共通しているのは、子供時代に何かに熱中したり、熱中しすぎて脱線したりするエピソードです。それが子供の自然な姿なのでしょう。


 ところが現代では、子供時代に、熱中はほどほどにして満遍なくいろいろなことをこなすという生活になりがちです。

 読書の仕方でよく相談を受けるのが、子供が同じ本ばかり読んで読むので困る、もっといろいろな本を読んで欲しいという相談です。その気持ちはわかりますが、同じ本を熱中して読み続ける価値をもっと評価してあげたいと思います。子供は、飽きずに同じことをしているときに、熱中力を育てているからです。


 この熱中力は、小さいころに大枠ができてしまうような気がします。現代では、いろいろなことをそつなくひととおりできるのがよい子と思われがちですが、子供時代に熱中の経験の少なかった子は、大人になっても熱中しにくくなるようです。大学生や社会人になって、自分が本当に熱中できるものが見つからないという人は、見つからないというよりも、熱中力自体が少ないままなのかもしれません。


 もちろん人間は、動物と違って年をとってからでも何度も初期設定をやり直すことができます。しかしやはり、学校から帰ると、暗くなっておなかのすくまで夢中で遊べる無邪気な子供時代の方が熱中力は育てやすいのです。


 これに関連して、集中力というものがあります。

 よく子供が小さいころ、遊びに熱中していて、ご飯の時間になっても遊びをやめないときがあります。

 スケジュールどおりに生きることに慣れている大人は、つい遊びを中断させて食事をさせようとします。しかし、こういうときは、その子供の遊びの方を優先させて、遊びが自然に終わるまで待っていてあげた方がいいのです。

 スケジュールに沿って生きることは、社会生活の中で自然に身につけていきます。しかし、ものごとに集中して心ゆくまでその時間を味わうというのは、子供時代でなければなかなか育てられない能力だからです。

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